母乳相談外来って高い!保険適応or補助制度だったらいいのに…

The following two tabs change content below.
助産師16年&母乳育児支援者&一児の母。助産師の仕事の中でも特に母乳育児支援が好きで、たくさんの母子の母乳ライフのお手伝いをしてきました。 「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、母乳育児を科学的な視点+リアル感覚の両方から解説しています。趣味は子ども服作り。
ミカ子

こんにちは!子育て中の助産師 ミカ子(@midwife_kaasan)です。

今回は母乳相談外来のお金のことについて、私が思うところを書きます。

母乳相談外来の費用っていくらかかる?

母乳相談外来・母乳相談室・○○助産院など…母乳相談ができる場所の名前は様々ですが、1回の相談でいくらくらい費用が必要かというと…

ピンキリではありますが、私の実感では、「初診5000円、再診3500円」あたりが相場じゃないかなと思います。

出張の母乳相談だとこれに出張料金がプラスされることが多いです。

母乳相談+アロママッサージなどの付加価値を付けているところでは、もっと高額になる場合もあるでしょう。

一方でもっと安い母乳相談外来もあります。

その病院で産んだ人限定で1回2000円程度のところもありますが、安いところはワケありの場合もあります。

例えば、

  • 乳腺炎などの緊急時限定
  • 予約が取りづらい
  • 毎回担当スタッフが違う
  • 相談を受けるスタッフがそれほど母乳相談に精通していない。

残念ながら助産師なら(あるいは産科勤務スタッフなら)全員が正確な母乳育児支援の知識・スキルを持っているとは限らないので、安い母乳相談外来にかかることで逆に問題がこじれて高くつく場合もあります。

継続受診が必要な場合、一般家庭にとっては負担が大きい。

母乳相談はその特性上、少なくとも数回の継続受診が必要になることが多いです。

例えば…

  • 母乳相談外来を受診する理由で多い「母乳不足」では2~3週間毎の継続受診が数ヶ月に渡って必要になることが多い。
  • 乳腺炎の場合だと、連日受診が2~4日程度+状況に応じてその後も1~2週間後にチェックが必要になることが多い。

というように、多くの人は単発受診ではなく複数回の受診が必要になります。

仮に1ヶ月に2回受診したとしたら、受診料だけで7000円~1万円かかることになります。

さらにここに交通費やガソリン代・駐車場代がかかります。

よほど家計に余裕のある家庭を除いて、母乳相談外来のお金の負担というのはけっこう重くのしかかることが多いんじゃないかと思います。

実際に私も自分が乳腺炎にかかった時、「受診したら5000円かぁ…自分でなんとかできるんじゃ…(というか自分で何とかしたい!)」という考えが頭をよぎり、受診のタイミングが遅れて両側性のひどい乳腺炎に発展してしまったことがあります。

スポンサーリンク

母乳相談のニーズはとても高いと思う。

母乳相談というのは実はとてもニーズの高い医療サービスです。

私が勤務したことのある2つの病院(大学病院と個人病院)でも、母乳相談の予約はいつもほぼ埋まっていました。

その理由はざっくり4つあると思います。

  1. 例外的な事情のある人*を除いて、ほとんどのお母さんが母乳育児を希望しているから。
  2. 母乳をあげている光景をほとんど見たことがないままお母さんになる人が多いから。
  3. 母乳のことに限らず子育て全般について、気軽に相談できる人がいないことが多いから。
  4. 産院で母乳育児を継続していくための正しい知識・スキルを教えてもらえないまま退院してくるケースが多いから。

こんな理由から、本来は自然な行為である母乳育児について困っている人がとても多いのです。

これは私が赤ちゃん訪問(家庭訪問)の仕事をしていて感じたことですが、困っているまでいかくても、「これで合ってるのかな…正しい方向に向かっているのかな…?」と不安に感じている人はとても多いです。

つまり、あえて予約を取って、高い相談料を払ってまで相談する気にはなれないけど、アドバイスがほしい!と思っている潜在的なニーズがとても多いと思うんです。

母乳育児を希望しない理由
先ほど「例外的な事情のある人を除いてほとんどのお母さんが母乳育児を希望する」と書きましたが、「例外的」というのは例えばこのような場合です。

  • HIVやHTLV-1というウィルスに感染している。(母乳をあげないことで赤ちゃんへの感染率が下がることが知られている感染症)
  • 抗がん剤・放射線治療など赤ちゃんへの影響が大きい治療が必要。
  • どうしても乳房の形が崩れるのがイヤだから母乳はやりたくない。(授乳することで全員が乳房の形が著しく変わる訳ではありません)

母乳相談にかかる費用への補助制度があったら…

母乳相談のニーズは高いけど、実際に相談に行く人はそのニーズに比べたらとても低いと思います。

それはなぜかというと、1にも2にも家計への負担が大きいからです。

「この程度の不安や困りごとで5000円(3500円)の価値はあるかな?」と誰しもが思うと思います。

そんな風に思いながら、科学的根拠に相反するやり方で母乳育児を続けている内に、母乳分泌量が減ってしまったり、赤ちゃんが吸ってくれなくなってしまったりして、せっかく希望していた母乳育児ができなくなってしまう親子が多いのです。

母乳育児が思っていたようにできないことで、子育てに対して行き詰まり感・挫折感・絶望感を感じるお母さん、子どもがかわいいと思えなくなってしまうお母さんもたくさんいます。

私は年間350~400組の親子の元に赤ちゃん訪問(家庭訪問)をしていましたが、もっと早い時期に専門知識がある母乳育児支援につながっていれば…と思うことが多々ありました。

もし母乳相談にかかる費用に対して医療保険が適応されたり、バウチャー制度のような形で何らかの補助があれば、母乳相談外来を受診するお母さんは急増するんじゃないかと想像しています。

「これでいいのかちょっと確認しておきたいな」と思ったタイミングで、お金のことを心配せずに母乳相談外来を受診できたら、希望通り母乳で育て続けられる親子も増えるし、産後うつなどの精神的な問題も減るんじゃないか…と思うのです。

せめて乳腺炎は…
母乳相談料というのは私の知る限り、どういう場合でも自己負担です。

それは大前提として「病気ではなく健康な状態の人の相談だから」という理由からだと思うんですが、少なくとも乳腺炎は立派な疾患ですよね。

どうして乳腺炎の場合でも保険適応されないのでしょう?

母乳相談は医療行為じゃないから?

でも、科学的な根拠に基づいた行為だったら医療行為と言ってもいいのでは?

母乳相談に携わる人の専門性を一定以上にするという条件付きではありますが、子育て支援を声高に叫ぶなら、こういうところにもメスを入れてほしいなと思います。

スポンサーリンク

バウチャー制度については取り組みをしている自治体も!

母乳相談や子育て相談に対する補助制度はすでに行っている自治体もけっこうたくさんあります。

例えば、長野県伊那市ではこんな風に制度運用しているようです。

  • 伊那市に住所のある産婦に対して、1人あたり3枚の助成券を交付します。
  • 赤ちゃんの出産後、各施設での相談1回につき助成券1枚が利用できます。
  • 助成額は券1枚あたり2,000円で、助成額を超える費用は自己負担となります。
  • 出産から1年6か月以内まで利用できます。
  • 妊娠後、母子手帳交付時にお渡しします。

秋田県由利本荘市ではこんな感じ。

  • 母乳育児相談:2160円を上限に1回の助成
  • 上限金額を超える場合は助成額を差し引いた料金を医療機関にお支払いいただきます。
  • 妊娠届出時に妊婦健診受診票と一緒に配付しています。
  • 母乳育児相談補助券の使用期限は出産日から6か月間です。

どちらの自治体の制度も素敵ですよね!

1回2000円程度補助してもらえたら、再診なら1回あたり1500円くらいで受診できることになります。

1500円でも苦しい家庭はあるでしょうけど、3500円のインパクトの比じゃないですよね。

こういう波が全国的に広がって、子育て支援・母乳育児支援の地域格差がなくなれるといい。

こういう取り組みに始めた自治体で、相談率がどれくらい上昇したか、産後うつの罹患率がどう変化したか…のような情報が出てきて、育児相談・母乳相談に対する補助制度の有用性が明らかになるといいなと思います。

お金を投入する効果が明らかになってこれば、子育て相談・母乳相談への補助制度は全国的に一般的なものになっていくんじゃないでしょうか。

住む場所によって受けられるサービスの格差がなくなるといいなと切に思います。

まとめ:問題は色々あるけれど

ニーズが高いにも関わらず、金銭的な理由で、適切なタイミング・頻度で母乳相談外来を受診できないという問題点があること、何らかの経済的補助があれば子育ての悩みの元になりやすい母乳育児がうまくできる人が増えるんじゃないかということについてまとめてきました。

実際に私も、継続的にお手伝いしたいけど、経済的な理由でお付き合いが途絶えてしまった親子がたくさんいます。

でも私はボランティアではなく仕事として母乳相談をお受けしているので、無料で相談をお受けすることはできません。

仮に無料でお引き受けしたとしても、奉仕の精神だけでは長くは続けられないでしょう。

財源の問題、医療保険については法律の問題もあるのは重々承知していますが、歯止めのかからない出生率の低さや、産後うつに苦しむ人の多さを考慮すると、こういうところにこそ税金を使ってほしい!と思うのです。

コメントを残す