母乳で育つ赤ちゃんの補完食・離乳食の進め方

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助産師16年&母乳育児支援者&一児の母。助産師の仕事の中でも特に母乳育児支援が好きで、たくさんの母子の母乳ライフのお手伝いをしてきました。 「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、母乳育児を科学的な視点+リアル感覚の両方から解説しています。趣味は子ども服作り。
  • 補完食とか離乳食とか言うけど、結局何を食べさせてあげればいいの?
  • 赤ちゃんへの食事はどう進めていけばいいの?

という疑問についてお答えします。

この記事で分かること
  1. 補完食とは何か。離乳食と何が違うのか。
  2. 補完食の進め方の一例

離乳食じゃなく、あえて「補完食」って呼ぶ意味は?

「母乳だけでは足りなくなる栄養を補う」という意味で「補完食」という表現を使います。

決して、断乳・卒乳など「乳離れ」を目指すための食事、という意味ではないです。

「離乳食」というのは読んで字のごとく「乳離れ」を連想させる言葉ですよね。

ガイドライン通りに生後6ヶ月から離乳食を開始したとして、生後6ヵ月から「乳離れ」を目指すには早すぎます。

WHOによると、補完食と母乳に関しては以下のように記載されています。

補完食と母乳育児
  1. できるだけ6ヶ月間は母乳だけを与えましょう。
  2. 2年かそれ以上母乳を与えましょう。
  3. 補完食を開始しても、以前と同じように子どもが欲しがる度に授乳は続けましょう。
    授乳の長さも以前と同じように続けましょう。

日本では、「離乳食を食べない」と相談すると「授乳回数を減らして」「断乳して」と言われることも多いのでビックリされる方も多いと思いますが、基本的には補完食開始後も授乳を制限しなくてもいいんですね。(生活リズムを整えたり、授乳のタイミングを工夫したり、ということは必要になることも多いですが)

基本的な考え方は、「授乳は続けながら、足りない栄養を食べ物で補っていく」です。

母乳で育つ赤ちゃんにとって、どんな栄養がどれくらい母乳からだけでは足りなくなる?

「母乳だけでは足りなくなる栄養を補う」のが「補完食」と先述しました。

じゃあ、母乳だけを赤ちゃんに与えていると、どんな栄養が足りなくなるのでしょうか?

エネルギー(カロリー)は?

生後5ヵ月までは母乳だけで赤ちゃんに必要なエネルギーが供給されますが、生後6ヵ月過ぎから不足分が出ているのが分かりますね。

鉄分は?

次に鉄分。

これが、鉄分が、母乳だけで育てていると不足しやすい栄養素の最たるもので、かつ意識しないと補うことが難しい栄養素です。

生後6ヵ月未満までは胎児期に母体からもらった「貯蔵鉄」が使えますが、6ヵ月になる頃には貯蔵鉄は使い果たしてしまうので、食べ物からの補充が必要になります。

早産児・低出生体重児は出生時の貯蔵鉄が少ないので、より早く・より多くの鉄が必要になります。

生後21~23ヵ月で不足しがちな栄養は?

エネルギーや鉄の他にも、たんぱく質も不足しやすいです。

ビタミンAも少し不足するのがグラフから分かりますね。

このグラフのオレンジの部分を食べ物で補っていく、それが「補完食」です。

この他にも、

  • カルシウム
  • 亜鉛

等が特に、母乳からだけでは供給しきれない栄養素です。

生後6ヵ月以降、母乳だけでは不足する栄養の代表例
  1. エネルギー(カロリー)
  2. 鉄(鉄の吸収を助けるビタミンCも大事)
  3. タンパク質
  4. ビタミンA
  5. 亜鉛
  6. カルシウム

補完食を開始する時期の目安は?具体的に補完食をどう進めていくの?

ここまで読んで、

足りなくなる栄養は何となくわかったけど、いつから何を与えたらいいんだろう?

というのが本音の人が多いかと思います。

結論だけ言うと「たった1つの答えはない」になってしまいます。

なぜなら、

  • 家庭ごとの食文化はそれぞれ違うし
  • 地域ごと、季節ごとに入手しやすい食材も違うし
  • 赤ちゃんが好む味・食感が違うし
  • 赤ちゃんの咀嚼(かみ砕くこと)・嚥下(飲み込むこと)機能もそれぞれ違うし
  • 赤ちゃんに食物アレルギーがあるかどうかによっても対応が異なる

などなど、考慮すべきことがみんなそれぞれ違うからです。

WHOの冊子を読んでいると、補完食の食材候補として「キャッサバ」「パパイヤ」などが出てきますが、これは日本に住む日本人には適応しずらいのがよく分かる例ですね。

そうは言っても、「何かヒントを…」というのが本音だと思いますので、「私だったらこうやって進めていくかな」という私の食文化・嗜好に沿った1つの例・アイデアを以下に記しておきます。

補完食開始時期の目安

補完食開始のタイミングは、一律に「生後〇ヶ月になったら」よりも、赤ちゃんの発達状況に合わせた方がスムーズだと思います。

一般的な補完食開始の目安は以下の通りです。

  1. 生後6ヵ月頃になっている(状況により必要ならそれより早くても可)
  2. 支えれば座ることができる
  3. 家族の食事風景を見ると、じっと見たり、手を伸ばしたり、よだれをたらしたり、食べたそうな素振りをする

最初の数回の食事は、濃いお粥や軟飯で作った小さなおにぎり

私の場合、最も馴染みのある食材はお米ですので、補完食のファーストトライは米を選択すると思います。(日本の離乳食支援ガイドにも「お粥から始め」と記載されています)

日本では昔から「最初は10倍粥から」とよく言われてきましたが、10倍粥は薄すぎて栄養もエネルギーもあまりないのでおすすめしないし、私なら与えないです。

私だったら、最初は普通のお粥(大人が体調不良の時に食べるようなお粥の、味付けなしバージョン)を作ってみると思います。

それを赤ちゃんに与えてみて反応をみます。

粒々がイヤそうだったり食べにくそうだったら、すり鉢でお粥を少しつぶしてみます。

ドロドロの食事がイヤそうだったら無理に食べさせないで、今度は柔らかく炊いたご飯を小さなボールおにぎり(赤ちゃんの手に握れるくらいの大きさ)にしてみて、赤ちゃんの前に差し出してみます。

スプーンで食べ「させられる」のはイヤだけど、自分の手でつかんで、触り心地を確かめながら、よく見ながら「自分で」食べたい子もいると思うからです。

お米だけでなく食パンも我が家にはいつもある食品なので、手づかみ食べの方を好む様子だったら、口どけの良いタイプの食パンをスティック状に切って渡すと思います。

このようにして、

  • 私にとって最も馴染みのある食材で
  • いつも家にある食材で
  • 作るのが私にとって負担感が少ないもので

最初の2~4回くらい様子を見て、赤ちゃんの食事への興味関心を確かめてみます。

赤ちゃんの食べる意欲・発達状況を確かめて次のステップに進みます。

お粥/軟飯だけでは足りない栄養素は満たせないので、野菜や動物性タンパク質も取り入れる

お粥・軟飯・くちどけの良い食パン等で赤ちゃんの食事に対する状況を確認しました。

これらの炭水化物を赤ちゃんが好んでも好まなくても、私だったら次のステップに移行します。

なぜなら、コメやパンだけでは先述した不足する栄養素「鉄」「タンパク質」「亜鉛」などが摂取できないからです。

「鉄」「タンパク質」「亜鉛」を摂取するために、野菜や動物性たんぱく質も取り入れていきます。

鉄・亜鉛を豊富に含む代表的な食材はレバーですが、私は火の通ったレバーが嫌いだし、レバーの調理もしたくないので、作りません!

我が家の近所には焼き鳥屋さんがあるのででレバーの素焼き(塩もタレもついてないもの)を買ってきて、それをつぶして、赤ちゃんが食べやすいようにお湯やだし汁で伸ばして与えてみます。

野菜は【co-opdeli】 の裏ごし野菜のキューブとか、和光堂のはじめての離乳食シリーズを私なら使います。

補完食を食べ始めたばかりの頃は特に、量は大して食べなくて「お試し」的要素が強いので、私は自分のリソースを補完食作りには割きたくないのです。

なるべく手間暇かけずに、効率よく必要な栄養素を摂れる方法を優先的に採用すると思います。

補完食を開始して最初の1ヶ月くらいは、食べてくれる量にもよりますが、1日1~2回の補完食を与えると思います。

不足する栄養素を基本にしつつ、徐々に使う食材を増やしていく&補完食の回数を増やしていく

次は、

  • コメ・パン・動物性たんぱく質・緑黄色野菜など、母乳だけでは不足する栄養素を補える食材を基本にしながら
  • 赤ちゃんの様子を見ながら
  • 私の補完食を用意するための心身エネルギーの状況を見極めながら

使う食材を増やしていきます。

基本的には大人の食事のとりわけ食にしますが、特に鉄分の吸収を促すビタミンCは意識的にプラスして取り入れます。

補完食開始後2ヶ月目以降の補完食の回数は、赤ちゃんが1回に食べれる量を見極めて、柔軟に決めます。

良く食べるなら1日3回にするだろうし、1回に食べる量が極端に少ない赤ちゃんだった場合には1日4~5回食事・おやつの機会を作ると思います。

この間も、赤ちゃんが母乳を欲しがればその都度授乳します。

補完食を全然食べてくれないように感じた時の工夫

補完食を好んでたくさん食べてくれる赤ちゃんもいるし、びっくりするくらい受け付けなくて、母乳ばかり飲みたがる赤ちゃんもいます。

「おっぱい大好き!」さんで補完食に全然見向きしないように感じた時には、私なら色々工夫すると思います。

例えば、こんな風に。

母乳ばかり欲しがって、補完食を全然食べてくれない時にできる工夫の一例
  1. 一度食べるのを拒否した食材でも、何十回も何百回も食卓に上げ続ける内に興味を示すこともあるので「嫌いなモノ」と断定しないで、食卓に上げ続けてみる。
  2. 毎日同じ時間に起きて、食事して、昼寝して、寝るように、生活リズムがなるべく毎日同じになるように努力する。
  3. すごく空腹の方が食事をよく食べるのか、少しの母乳で小腹が満たされていた方が落ち着いて食事できるのか見極める。
  4. 「手持ち無沙汰だと授乳」「退屈だと授乳」のようなタイプなら、授乳以外の楽しいことに目が向いて空腹になれるように、連日児童館等に出掛ける。(児童館へのお出かけを生活リズムの一部にしてしまう)
  5. 赤ちゃんが強く授乳を要求した時には、拒否しないで食事より前でも授乳を少しする。
  6. 食事途中でも授乳したがれば、赤ちゃんの気持ちが落ち着く程度に授乳する。

母乳だけで不足しやすい栄養素を豊富に含む食材一覧

参考までに、不足しやすい栄養素を豊富に含むのは具体的に何かについて一覧を載せておきます。

 

まとめ

  • 自治体が主催する「離乳食教室」などで教えられる離乳食の情報と
  • Twitterで流れてくる「補完食」に関する情報とで

乖離があって混乱されている方も多いと感じたので、「私だったらこう進めていくかな」という一つのアイデアをまとめてみました。

余談ですが、よく育児雑誌に載っているような「月齢別食べられる食材一覧!」みたいなものは、あまりアテにしない方がいいだろうと私は思います。参考にはなりますが。

本文中でも繰り返していますが、赤ちゃんの食への興味関心も、食行動のための発達状況も消化機能の発達状況も、家庭毎の食文化もそれぞれ異なるからです。

色んな情報が溢れていて、また栄養士・保健師・助産師・保育士など尋ねる専門職によって答えが違うので戸惑うことも多いと思いますが、「補完食」という考え方をぼんやりとでも知って頂けたら幸いです。

引用・参考文献

このページは「補完食 母乳で育っている子どもの家庭の食事」を参考にし、一部引用・抜粋してまとめています。

全文がこちらで無料で読めるので、詳しく知りたい方は是非読んでみてください。

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