中絶したいくらいツライつわりもある。

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助産師&母乳育児支援者&一児の母。 「ちょっとの勉強で、妊娠・出産・母乳・育児はもっとラクチンできる」「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、科学的な視点+リアル感覚の両方から周産期のことを解説しています。

「待望の妊娠をしたんだから、女性は嬉しいに違いない」と思ってませんか?

妊娠は待ち望んだものであっても「『妊娠おめでとう!』と言われることすらイラっとするくらい、つわりがツライ」という女性も実はいるんです。

当たり前に思えるつわりですが、

  • 人によってつわりがいかに壮絶なものか、
  • そういう状況の時にどうサポートすればいいか、

プレパパにお伝えしていきます。




中絶したいくらいツライつわりもある。

二日酔いを経験した事のある人は多いと思います。

  • 起き上がることができない
  • 満足に眠ることもできない
  • くらい、ひどいひどい二日酔いが、
  • 休みなく、何週間も何ヶ月も続いて
  • その最中に新しいビッグプロジェクトのリーダーをしなければいけない

これが、つわりで苦しむ女性の置かれた状況です。多少語弊はあるにせよ。(ビッグプロジェクトとは、もちろん妊娠・出産・育児のことです)

プレパパだって色んな期待や不安があるでしょうし、先輩たちから色々情報収集していると思いますが、特につわりに関しては、他の女性の経験談や武勇伝はなんの参考にもなりません。

つわりというものは、今経験しているその人自身にしか、その壮絶さは分からないものだからです。

それくらい個人差が激しく、個別性の高い事案なのです。

この個人差・個別性を理解してもらえないが故に、つわりという苦しい症状を抱えながら、精神的にも非常に不安定で孤独になっている女性が実は多いです。

それが積もり積もって、待望の妊娠のはずなのに「もう中絶して、おしまいにしたい」にまで至ってしまうこともあります。




「このまま赤ちゃんと2人で消えてしまいたい」と言う人もいる。

「妊娠した」と報告すれば、当たり前にほとんどの人が「おめでとう!」と祝福してくれます。

でも当の本人は「こんなにツラい状態なのに、何が『おめでとう』なの?!」と内心悪態ついていることも実はあります。

それくらい、妊娠の喜びさえ帳消しになってしまうくらい、つわりの症状というのは時に過酷なものです。

そして、気軽にみんな言うんです。

  • 妊娠は病気じゃないからね~!
  • つわりは病気じゃないからね~!
  • 赤ちゃん欲しかったんでしょ?
  • 私もつわりあったから分かる~!
  • 私もつわりあったけど、休まず働いた(家事した)よ!
  • いつまで働けるの?いつから復帰する?

これらの言葉の1つ1つが、つわりの症状そのものに追い打ちをかけるように女性には降り注いできます。

これらの言葉は「つわりは病気じゃないんだから、みんな経験してきたことなんだから、甘えてないで、頑張っていつも通りの生活をしなさい」という空気感を帯びていて、それがつわりそのものの苦しみに拍車をかけます。

祝福してる風の雰囲気の中でも、「妊娠=自己都合」「妊娠=多くのみんなが経験する当たり前のこと」というナゾのプレッシャーを感じる女性は少なくありません。

つわりだけでも十分すぎるくらいツライのに、このように精神的な様々なストレスもかかってきているんですね。

体のツラさと精神的なツラさとが、複雑に絡み合って、こんがらがって、

「もう中絶してしまいたい」

あるいは

「もう赤ちゃんと2人で消えてしまいたい」

とまで内心では思い詰め、でもそれを口にする事すらできないでいる女性もいるのです。

数としては多くないと想像しますが、実際に、つわりを理由にして妊娠中絶する方もいらっしゃいます。




壮絶なつらさに思いを馳せて、家族でサポートを

女性の置かれた状況がなんとなく想像できたところで、「じゃあ、どうすればいいか?」です。

まずは、「待望の妊娠をしたんだからハッピーに違いない!」というフィルターを取り払って、女性が今感じている苦痛や不安に耳を傾けてあげてください。

耳を傾けること自体は症状を直接改善させたりしませんが、「話をしっかり聞いてもらった」という実感が精神的な大きな支えになります。

また、先述したように「妊娠=自己都合、自己責任」という風あたりを、女性は一身に受けています。

そういう空気感の中で、

  • どこで産むのか
  • 里帰りはするのか?夫婦だけで産褥期を過ごすのか?
  • 里帰りしないのなら、パパは育休を取れるのか?
  • いつから産休に入るのか
  • いつから職場復帰するのか
  • 職場復帰に当たっては、家事・育児の職務配分をどうするのか

といった、とても現実的な問題に直面し、迷っていると思います。

ありがちですが、「君の好きなようにすればいいよ」「俺はどういう風でもいいよ」というような、他人事な雰囲気のある発言は禁句です!

「どうするのが正解かは分からないけど、2人の子どもなんだから、一緒に迷って悩んで、自分たちにあったやり方を模索していこう」というのが基本スタンスかと思います。

例えば、これはあくまで一例ですが、女性が

「こうしようと思うんだけど…」

と相談なのか報告なのか分からないことを言ってきたら、

「何か迷ってることがあるの?どういう事を心配して迷ってるの?」

問題点を具現化する手伝いをして、問題の洗い出しを一緒にしつつ、解決法を考えていただければと思います。

妊娠・出産・育児関連のことを最終的に決めていくのは女性ですが、その過程には男性も積極的に関わることができます。

  • 女性にとって気の置けない人(例えば実母)に顔を出してもらう提案をする
  • 女性が気を遣ってしまう人(例えば義父母)と会う機会をなくす/減らす
  • 症状がツライ間は、家事全般を一手に引き受けてあげる
  • 少なくとも自分の事は自分でする

といった調整も、プレパパの立場だからこそできることですね。

また、炊事・洗濯・掃除・買い物といった、現実的なタスクを男性が一手に引き受けることももちろん効果的です。

言うまでもないことですが、つわりの女性にパートナーのためだけに食事作りをさせてしまうのは大変な負担ですから、自分のことは自分でやりましょうね。

何もすべきことがなければ「安心して寝込んで」いられますから、女性が寝込める環境を整えてあげるのもプレパパにできることです。

これまで家事全般を女性が担ってきている場合だと、急に家事を一手に引き受けるのは難しいかもしれません。

そのような場合は、家事代行サービスを導入するのも1つの選択肢です。

妊娠すると、行政を介して安価に使える家事代行サービスがある場合もあるので、お住まいの自治体に問い合わせてみてくださいね。




各種手続き・制度関連の調べものはプレパパの仕事

妊娠・出産・育児の当事者になると、各種手続きや関連する制度の多さ・複雑さにびっくり&辟易とすると思います。

女性は「妊娠の維持」という重要ミッション遂行中ですから、女性自身が「自分で調べて把握したい!」という場合を除いて、これらの込み入った調べものは基本プレパパの仕事にするのが合理的です。

調べものといのは

  • 「~ということが分かったよ!」
  • 「この書類が必要だよ」

と成果が目に見えるので、お互いの満足感にもつながります。

プレパパ自身のストレスのはけ口の工夫も

ここまで「プレパパ『が』すべきこと」というような主旨でまとめてきましたが、プレパパ自身の健康管理・ストレスコーピングも大事ですね。

プレパパ自身も「自分の子どもができること」への漠然とした不安があるかもしれませんし、妊娠のタイミングが、仕事の重要局面や転職、転勤などと被ったりすることもあると思います。

パートナーが妊娠して、ましてやつわりがある状態だと、いつものストレス発散(例えば飲みに行くとか、趣味のスポーツ観戦に行くとか)をするのがはばかられることもありますよね。

「今までのような生活ができない」「なんらかの制限がある」という点では男女同じなので一定の我慢は必要ですが、女性をサポートしながらできる、新しいストレス発散方法を見出していく必要があります。

なぜなら「制限のある生活」は出産後にますますその度合いが色濃くなるので、妊娠中のうちに独自の新しいストレス発散法を見出すことができなければ、男性もまたつらくなってきてしまうからです。

どんなことでストレスのはけ口を作っていくかは本当に人それぞれですが、

  • とにもかくにも良質な睡眠時間を確保すること
  • 必要な栄養を摂取できる食事を心がけること
  • たくさん笑うこと

はとても重要です。

それぞれの家庭の事情と、自分のキャラクターに合ったストレスコーピングを見つけてくださいね。

私の知っている範囲で例を挙げると、例えば

  • カメラにハマった
  • 料理にハマった
  • 家具などのDIYにハマった
  • 子どものいるパパさんたちとの会話が楽しくなった

といったようなことを、新しいストレス発散方法としていった男性たちがいます。




まとめ

  1. つわりは妊娠中絶や自殺を考えてしまうほどツラい場合もある
  2. その中でプレパパができることは何か

ということをまとめてきました。

男性は男性で、女性とは異なるストレスやツラさがあると思いますが、つわりの時にできたパートナー間の軋轢が、産後クライシス(産後の夫婦関係の急激な悪化)につながっていくことも十分考えられます。

家事など女性の現実的な負担を減らしつつ、共感するスタンスを、ぜひとも大切にしていただきたいと思います。