【つわり】改善する食べ物ってあるの?いつ終わるの?

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助産師&母乳育児支援者&一児の母。 「ちょっとの勉強で、妊娠・出産・母乳・育児はもっとラクチンできる」「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、科学的な視点+リアル感覚の両方から周産期のことを解説しています。 個別のご相談はこちらから →https://baobabu.online/

【つわり】改善する食べ物ってあるの?いつ終わるの?

結論だけを先に言うと、

  1. 特定の食べ物によってつわりの症状そのものが改善するという根拠はありません。残念ながら。
  2. つわりは、胎盤が完成する妊娠15~16週頃までには落ち着く人が大半ですが、稀に出産まで続く方もいます。

妊娠した喜びも戸惑いも束の間、つわりが始まると、文字通り「生きているだけで精一杯」になる妊婦さんも珍しくありません。

  • つわりが出るか出ないか、
  • つわりが出たとしたら、どれくらいの症状の重さか

は本当に様々なので、先輩ママの「私もつわりで大変だったから分かるぅ~!」に悪意はないかもしれませんが、何の励みにも慰めにもならないです。

つわりというものは、「そのつわりを経験している本人にしか、本当のツラさは分からない」というのが本質だと私は考えています。

また「つわりは病気じゃないから」ともよく言われて、それが妊婦さんの精神を追い詰めることがあります。

「つわりは病気じゃないんだから、みんな経験してきたことなんだから、『甘えてないで、頑張っていつも通りの生活をしなさい』」という思惑が透けて見えるから追い詰められるんですよね。

つわりが重症化して「悪阻」という診断がついて点滴するレベルじゃなければ、確かに病気ではありませんが、

  • 24時間体制で何ヶ月も吐き気のある状態
  • 思うように動くことすらままならない状態

なのですから、様々な配慮とケアが必要であることに変わりはありません。

今感じているツラさに対してできることは限りはありますが、「いくらかラクに」「いくらか快適に」していくためのヒントを、この記事で見つけて頂けたらと思います。

この記事の結論
  1. つわりを治す方法も、改善する食べ物も特にないが
  2. 一般的に妊娠15~16週頃には症状が治まるので
  3. それまで、なんとか食べやすいものを手探りで探して、生きながらえていく

現代の最新医療をもってしても、コレしか手立てがないのが実情です。

でもいくらか症状がマシになったり、症状は変わらなくてもちょっと快適に過ごせるコツはありますので、この先でご紹介していきますね。

つわりの時は、食べやすいもの・食べられるものを、食べられる時に食べる!

妊娠すると「あれは食べちゃダメ」「コレを食べろ」と周囲から色々言われると思いますし、自分でも想像以上にナーバスになるかもしれません。

でも、つわりの間はとにもかくにも

  • 脱水にならないこと
  • 飢餓状態にならないこと

を優先して考えますので、「食事のバランスが…」とか「栄養が…」とか、そういうことはあまり深く考えなくて大丈夫です。

とにかく、「食べられる時に食べられるものを食べる」のが基本です。

食べられるものが、フライドポテトだったり、お菓子だったり、アイスだったりするかもしれませんが、他に食べられるものがないのなら、それはそれでOK。

とにかく、その日・その時、食べたいものをを食べましょう。

基本的に食べたいものを自由に食べてOKですが、妊娠中に口にしてはいけない、避けた方がいいものは以下の通りです。

妊娠中は口にするのを避けた方がいいもの
  1. お酒
  2. ドラッグ
  3. タバコ
  4. リステリア菌がいるかもしれない食品(ナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモン)
  5. 食物連鎖上位の魚(金目鯛、メカジキ、マグロなど)

つわりをマシにするための工夫10選

助産師としてたくさんの悪阻の患者さんのケアをしてきた中で、

  1. これは食べられる人が比較的多いな…
  2. こうすると、ちょっとラクになる人が多いみたい

というものをリストにしてみました。

ただ、

  • 今食べられたものが夜にはもう食べられなかったり、
  • また別の日には食べられるようになっていたりと、

嗜好は激変しますので、「たった1つの正解」を見つけようとするのではなく、自分の選択肢の幅を広げるようなつもりで参考にしていただければと思います。

つわりをマシにするための工夫10選
  1. 冷たくして食べる
  2. 濃い味、はっきりした味のもの
  3. 空腹になり過ぎないように小まめに食べる
  4. 環境の工夫
  5. 吐きやすいものを食べる
  6. 体を締め付けない
  7. おなかを温める、頭を冷やす
  8. ストレスや疲れを避ける
  9. ほどよく予定があった方がマシな場合も
  10. ハミガキする、マウスウォッシュを使う

①冷たくして食べる

シャーベット・アイス・氷・冷たい炭酸飲料など、冷たいものなら食べられる・飲めるという妊婦さんが圧倒的に多いです。

反対に、炊き立ての白米など、ほっこり温かいものはNGな人が多いです。

白米よりはパンの方が、温かいうどんよりは冷やし中華の方が、好まれる傾向にあります。

②濃い味、はっきりした味のもの

フライドポテトやフライドチキンなど、ジャンキーで味がハッキリしたものを好む妊婦さんも多いです。

素麺やソバはダメという妊婦さんが多いのは、冷たくても味がハッキリしないからかもしれません。

③空腹になり過ぎないように小まめに食べる

おなかが空くとより一層気持ち悪くなるのは、いわゆる「食べづわり」と言います。

つわりの時期は「妊娠したから3食決まった時間にキッチリ!」としなくて大丈夫。

気持ち悪いのが酷くなりすぎる前に、具体的には2~3時間毎くらいで、何か口にするようにしましょう。

この時も、ビスケットでもバームクーヘンでもおにぎりでも、その時自分の食べたいもので大丈夫。

④環境の工夫をする

つわりの時はスーパーに買い物に行って、色んな食材が視界に入ってくることすらツライものです。

できる限り、買い物は妊婦以外の人が行くようにしましょう。

食材宅配サービス(ヨシケイ・セブンミール・コープデリなど)やネットスーパーを活用するのも選択肢の1つです。

また、ごはんが炊ける臭いがダメな妊婦さんはとても多いので、炊飯器はベランダやふろ場に置いて、食べる本人が炊く(妊婦さんは炊飯器に近づかない)ようにするのもいいですね。

⑤吐きやすいものを食べる

つわりの時は、「ラクに吐くために食べる」のが目的になっている人も多いです。

食べる時から、吐きやすい、喉の通りがいいものを選んでおくと、吐くのがスムーズでちょっとラクです。

例えば、レンコン・ゴボウなどの根菜類は、吐く時に喉でザラザラ・チクチクして痛いのでオススメしません。

パン・カステラ・バームクーヘンなどを多めの水分と一緒に摂ったり、麺類を食べたりするのが、吐きやすいと感じる人が多いようです。

⑥体を締め付けない

カッチリしたワイヤーブラジャーなどが原因でつわりがひどくなる人は本当に多いです。

家ではノーブラにしたり、外出時はブラトップにしたりマタニティーブラにしたり、体を締め付けない工夫をしてみるのは有効な選択肢の1つです。

つわりの原因は現代も解明されていないので私の推測ですが、つわりの原因の1つは、血流や酸素が体全体に行き渡らないからだと思っています。

血流を少しでも阻害しないようにするために、特にインナーには注意が必要です。

重い荷物を持ったりリュックで背負ったりするのも、できるだけ避けた方が無難です。

⑦おなかを温める、頭を冷やす

冷やす・温めるについては、どちらが心地良いかは人それぞれで、コレ!という傾向はあまりありませんし、「冷やすとか温めるとか、それどころじゃない!」という人も多いです。

敢えて言うなら、おなか付近は温めた方が、頭付近は冷やした方が心地良いと感じる妊婦さんが多いようです。

⑧ストレスや疲れを避ける

  • 1日中仕事して疲れてくる夕方とか、
  • 満員電車の中でのストレスとか、
  • 苦手な人に会う時(会った時)とか、

ストレスや疲れが引き金になって、つわりの症状が酷くなる人はとっても多いです。

つわりの症状があるくらい妊娠初期だと、職場や周囲の人に妊娠の報告もまだしていない時期だったりして調整が難しいところではありますが、コントロール可能な範囲で、疲れやストレスを少なくする工夫は貪欲にしていきましょう。

パートナーに疲れやストレスが増悪因子だと知ってもらうことも大事です。

妊婦さんがこれまで通りに家事・育児(上の子がいる場合)するのを当たり前とするのではなく、家族全員で協力していく体制を作っていけるといいですね。

つわりの症状が重くて通勤や仕事がツライ場合には、職場に妊娠のことを報告することになってしまいますが、通勤時間や就労時間の負担を軽減してもらえる場合があります(「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用する)。

つわりの症状がひどくて、通勤や仕事の負担が大きい場合は、病院で相談してみてくださいね。

⑨ほどよく予定があった方がマシな場合も

⑧で「ストレスや疲れは厳禁」ということを書きましたが、一方で、「適度に予定があった方が気が紛れてラク」という人もいます。

1日中家の中だけにいると、四六時中、つわりの気持ち悪さに集中することになってしまうので、むしろ仕事をしたり友人と会ったりした方がマシ、ということもあるんですね。

外出した方が気が紛れていいのか、むしろ症状が酷くなってツラいのかは、かなり個人差のある部分なので、ご自身に合った方をバランスよく取り入れてください。

⑩ハミガキする、マウスウォッシュを使う

こちらも個人差の激しい部分ですが、つわりの間は
「食べたらソッコーでハミガキしないと、口が気持ち悪くて仕方ない!」
という人もいれば
「歯ブラシを口に入れるのもツラい!」という人もいます。

ただ、

  • つわりの間は不規則にちょこちょこ食べる機会が多くて口腔内環境が悪化しやすい
  • 嘔吐で胃酸が口腔内に残っていることもあるため口腔内環境が悪化しやすい
  • 口腔内環境が悪化して歯周病になると、それが早産につながるというデータもある

ため、口腔ケアにはできる限り気を付けた方がいいです。

食べたらできるだけハミガキをするのが基本ですが、歯ブラシを口に入れることすら難しい場合は、マウスウォッシュだけでも使わないよりはマシですから活用していきましょう。

つわり期間は、マウスウォッシュ選択を巡っても困ることが多いかもしれません。
普通に売られているマウスウォッシュは、かなり清涼感・味・においのキツイものが多いですから。

  1. マウスウォッシュの中ではあまりクセがなく、ドラッグストアで買えるモンダミン ペパーミント
  2. スース―しなくて刺激も味もほとんどない、コンクールF 100ml(ドラッグストアでは売ってない事も)

あたりが無難と言えば無難ですが、これも当たり外れは個人差が相当大きいです。

「つわりは病気じゃないからひたすら我慢」ではなく、処方薬で多少ラクになる人も

「妊娠したんだからつわりは当たり前のこと」と思って、診察室で医師に強く訴えない人も少なくありません。

…が、医師が必要と判断した場合には、ビタミン剤や制吐剤を処方してもらえる事もあります。

これらの薬がつわりに対してどれくらい効くかはかなり個人差のあるところではありますが、ちょっとでもラクになればラッキーですから、医師への相談も忘れずにしてみてくださいね。

つわりに「お灸・漢方薬が良かった」という人も

ここまでマッチする人が比較的多く、日常生活で取り入れやすい、つわりへの対処法をご紹介してきました。

ただ、これらをアレコレ試してみても「ツライことに変わりはないし、毎日とにかくしんどい」という人も、正直なところ多いです。

「もっと他に試せることはないの…!」という人のために、ちょっとハードルのある選択肢についても最後に触れておきます。

トライする人がそれほど多くないし、科学的に確かな裏付けがある訳ではないですが、

  1. お灸
  2. 漢方薬

といった東洋医学のアプローチでつわりがラクになった、という例もあります。

漢方薬は、例えば

  • 小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)
  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
  • 人参湯(にんじんとう)

といったものが処方されます。

漢方薬というと「何週間も飲み続けてやっと効果の出るもの」というイメージが強いですが、自分に合った漢方薬だと2~3回の内服で効果を感じられることもあります。

しかしながら、東洋医学的なアプローチは医師によってかなり得手不得手がありますので、主治医と要相談です。

鍼灸師さんが相談に乗ってくれる場合もありますが、こちらも「妊婦」と聞くと及び腰になる人が多いので、要相談です。

「要相談」というふんわりした言い方でモヤっとしますし、つわりでツライ最中に相談に乗ってくれる人を探し出すのは大変だと思いますが、そんな選択肢もあるということを、頭の片隅に置いておいてくださいね。

まとめ

  1. つわりは治すことはできないけど、ほとんどの場合は胎盤が完成する妊娠16週頃にはつわりの症状は落ち着くこと
  2. つわりの症状をマシにできるかもしれない選択肢

についてまとめてきました。

つわりのしんどさを巡っては、

  • 妊娠したことや今後の方針に対するパートナーとの温度差
  • 出産病院をどう決めるか
  • 職場や家族への報告のタイミングはどうするか

などなど、色んなことと絡まりあって、精神的にもツラくなる方がとても多いです。

プレパパであるパートナーは、この時期からの関わりを大切にしてほしいと思います。

女性はつわりを経験する中で、「自分の体の中でとてもダイナミックな変化が起きている」ことを実感し、そして早くも様々な勉強を始めます。

ここで2人の間に意識の温度差や、知識量の乖離が生まれてしまうと、出産後の軋轢(いわゆる産後クライシス)にもつながってきます。

女性の側も、

  • 自分が今感じている苦痛がどんなものなのか
  • どんなことに対して不安を感じているのか
  • 決めなければいけないことに対して、躊躇している要素はなんなのか

などなど、つわりでツライ最中ではありますが、言語化していく工夫は必要かと思います。

こういうフワっとした問題にどう対峙するのかをサポートするのも助産師の役割です。

妊娠したことによる夫婦関係・パートナーシップの心配事も、病院受診時に相談してみてくださいね。