母乳をあげたい人のためのバースプランの書き方~帝王切開も想定して書こう!~

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助産師16年&母乳育児支援者&一児の母。助産師の仕事の中でも特に母乳育児支援が好きで、たくさんの母子の母乳ライフのお手伝いをしてきました。 「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、母乳育児を科学的な視点+リアル感覚の両方から解説しています。趣味は子ども服作り。

バースプランと聞いて、「出産についての希望を書かなきゃ」と考える人は多いですよね。

でももし、

  • 「母乳で育てたい」
  • 「母乳だけ(完母)じゃなくてもいいけど、できるだけ母乳あげたいな」

と思うなら、

ミカ子
  1. バースプランには母乳育児への希望についても書いておくこと
  2. 帝王切開になった場合も想定して書くこと

をおすすめします。

なぜなら、母乳が出る/出ない原因のほとんどは、体質ではなく、「生まれてすぐから適切に母乳育児確立に向けて取り組んだかどうか」だから

このページでは、母乳育児をしたい人(母乳メインの混合栄養含む)のためのバースプランの書き方についてまとめていきます。

私が書いたバースプラン実例

最初に、母乳育児を希望する私が、実際に書いたバースプラン実例をご紹介します。

私の場合は、

  • 産後の私自身の体調は問題なし(シモの傷が痛くて鎮痛剤は定期的に飲みましたが)
  • 赤ちゃんの呼吸が落ち着かず生後7時間保育器管理
  • 黄疸で生後2~9日目は新生児集中治療室へ入院(母子分離)

という条件下でしたが、このバースプランを元に実行して、生後9日目から母乳だけで育てることができました

ご自身のバースプランにも使いたい方は、コピペOKですので活用してください。

私が実際に提出したバースプラン

<分娩までの過ごし方>

  • 分娩進行中は自分の心身の声に耳を傾けて、動きまわったり寝たり、楽な体勢を探したり、好きなものを食べたり、入浴・足浴で体を温めたり、持参したCDを流したり、室内を暗くしたり、本能の赴くままに過ごしたいです。
  • 楽な姿勢が保持できるように、クッションや抱き枕を貸して下さい。
  • 状況や見通しが分かっていたほうがポジティブに頑張れると思いますので、内診所見や現状・今後の方針などをタイムリーに説明して下さい。
  • おそらくあまり早くから載石位に固定すると腰が辛いと思うので、状況が許す限り分娩直前まで自分の好きな体勢で過ごせたらと思います。
  • なるべく会陰裂傷・切開がなくて済むように、あっても小さな傷で済むように、36週から毎日会陰マッサージをして分娩に臨みます。
  • 生まれてきたらすぐに赤ちゃんに触ったり、胸に抱いたりしたいです。
  • 赤ちゃんの体を拭いて計測等が終わったらなるべく早く分娩台の上で抱っこしたいです。
  • 落ち着き次第、夫と3人で写真を撮りたいです。
  • 産後の処置が終わり次第(できるだけ出産後1時間以内に)授乳を開始したいです。

<夫の立ち会いにあたって>

妊娠初期から変わらず、マッサージをしたり、炊事・洗濯・掃除・買い物をしたり、私の愚痴や弱音を上手になだめてくれたり、健診に付いてきてくれたりと、とにかくありとあらゆることをサポートしてきてくれました。

出産の時もいつも通りサポートしてもらえればと思いますので、

  • 夫にも現状・分娩進行状況・今後考えられる状況や方針についてその都度説明して下さい。
  • スタッフの方の迷惑にならず、夫が嫌がらなければ、できる範囲で夫もその場にいられるようにして下さい。
  • 一緒に胎盤を見たり触ったりしたいです。

<産後の育児・過ごし方について>

早期から母児同室を開始し、母乳だけで育てたいと思っています。

  • 出産後も痛みがある場合は鎮痛剤をしっかり使って疼痛コントロールしたいです。
  • 分娩直後の初回授乳の後も、出産当日から毎回直母をしたいです。
  • 早期から母児同室をして楽な姿勢で授乳できるように工夫したいです。
  • 医学的な理由がなく、私の心身の状況が許せば、ミルク等の補足はしないで自律授乳したいです。
  • なんらかの理由で母乳以外の補足が必要な場合は、糖水や白湯ではなく、ミルクを補足します。
  • 出生後8Hの初回糖水も吸着が良好であれば飲ませずに様子を見れたらと思います。
  • 補足が必要な場合は「事前に」説明をしてください。
  • 母乳育児をしたい気持ちはとても強いですが、母児の健康にリスクがあるのに意固地に固執するつもりはありません。はたから見ていて無理があるように見えたら教えてください(自分では気付けないかもしれないので)。

帝王切開をした場合>

  • 母児の状況が許せば、手術室で(あるいは帰室してから)なるべく早く抱っこしたいです。
  • 出産当日もできるだけ直母をしたいです。介助をお願いしなければならないと思いますので、もちろん病棟の状況が許せばで構いません。
  • 直母ができない状況であれば、ベッド上で乳頭刺激ができればと思います。状況に応じて搾乳器を貸して下さい。
  • 状態が悪く、長い時間直母できる見通しが立たない時は、乳頭混乱防止のためカップで授乳していただけると嬉しいです。

バースプランに母乳育児の希望についても書くべき2つの理由

「小難しい話はいらないから、とにかく母乳がそこそこ以上出るようにしたい!」という人は、上記のバースプランのような感じで書いてもらえば、だいたいOKかと思います。

この項では、上記で紹介したバースプランの根拠をまとめておきます。

冒頭にも書きましたが、「母乳が出たら母乳で育てたいな~」と思って、体質任せにしているとなかなか母乳は出ません。

母乳が出るか出ないかの原因がいわゆる「体質」であることは少数で、多くの人は「ちゃんとやれば、母乳はちゃんと出る」のです。

「ちゃんとやれば」の「ちゃんと」は出産直後から始まるので、これが母乳育児の希望についてもバースプランに書くべき理由です。

母乳育児の希望についてバースプランに書くべき理由を2つ、少し詳しく解説しますね。

理由①:母乳が出るか出ないかはプロラクチンというホルモンがカギだから

母乳を作るカギを握るのが「プロラクチン」というホルモン。

母乳を作る働きを担うプロラクチンの値は、出産時がピークです。

授乳(搾乳・乳頭刺激)をしなければプロラクチン値はどんどん下がり続け、何もしなければ出産後わずか7日で非妊時のレベルまで戻ってしまいます。

⇧母乳を作るホルモン「プロラクチン」の分泌の仕方

ミカ子
つまり、出産と母乳育児とを分けて考えて「落ち着いてから授乳を…」と思っていると、肝心のプロラクチンが下がっていってしまって、なかなか母乳が出るようにならない事態になりかねないのです。

 

理由②:母乳を作る「プロラクチン」を下げないようにするためには、出産直後から&頻回に授乳が必要だから

理由①で書いたように、母乳育児をラクにスタートできるか否かは、どれだけスタートダッシュできるかにかかっています。

「プロラクチンを下げないためのスタートダッシュ」とは具体的に何か、挙げていきますね。

プロラクチンを下げないためのスタートダッシュの具体例
  1. 出産後30~60分以内に授乳をする。
  2. 30~60分以内が難しければ、可能な限り早いタイミングで初回授乳をする。
  3. 直接授乳ができない場合は、搾乳・乳頭刺激をする。(赤ちゃんが保育器管理・お母さんが麻酔の影響で動けない場合など)
  4. 初回授乳(搾乳・乳頭刺激)の後も、夜間を含め少なくとも2~3時間毎に授乳・搾乳・乳頭刺激をする。
  5. 最初の2~3日は搾乳・乳頭刺激では母乳が採取できなくてもOKだし、母乳採取できるほど出ないことがほとんどなので、分泌量はあまり気にしない。
  6. とにかく頻回に(少なくとも2~3時間毎、1日8回以上)授乳・搾乳・乳頭刺激をする。

これ⇧を実現するためには、傷や痛みがないように、いかに深く赤ちゃんに吸い付いてもらうか等のコツも必要です。

上記を含め、出産直後からスタートダッシュをしてスムーズに母乳育児を軌道に乗せるコツは「母乳育児のための出産・育児準備6つのポイント」に詳しくまとめていますので、ご紹介したバースプランの根拠の部分を詳しく知りたい方は参考にしてください。

帝王切開になった場合も想定してバースプランは書こう!

予定帝王切開は珍しくないですし、妊娠経過が順調だった人でも、分娩進行過程で何か心配なことがあって緊急帝王切開に切り替わることはよくあります。

病院によっては帝王切開率が40%を超えている場合もあり、本当に経腟分娩・帝王切開どちらになってもおかしくありません。

ですから、どんな分娩方法になっても自分自身も病院スタッフも対応できるように、希望をバースプランという形にまとめておくのがおすすめです。

先述した通り、私の場合はこんな風に⇩書きました。

<帝王切開をした場合>

  • 母児の状況が許せば、手術室で(あるいは帰室してから)なるべく早く抱っこしたいです。
  • 出産当日もできるだけ直母をしたいです。介助をお願いしなければならないと思いますので、もちろん病棟の状況が許せばで構いません。
  • 直母ができない状況であれば、ベッド上で乳頭刺激ができればと思います。状況に応じて搾乳器を貸して下さい。
  • 状態が悪く、長い時間直母できる見通しが立たない時は、乳頭混乱防止のためカップで授乳していただけると嬉しいです。
帝王切開の場合は「スタートダッシュ」が難しいことも多い

私のバースプランを読んでいただいて「なんだか遠慮がちな書き方だな」と感じた方もいるかもしれません。

帝王切開の場合は、麻酔や痛みの影響で少なくとも最初の1~2日は自分で体を動かすことができませんよね。

ですからスタッフに授乳や搾乳を手伝ってもらう必要がありますが、残念ながら十分な支援が受けら慣れないことも珍しくないのです。

私が出産した病院も、ハイリスク妊娠・分娩の方が多かったせいもあって母乳育児支援に熱心とはとても言えない感じだったので、遠慮がちな内容のバースプランになりました。

「よくある帝王切開の場合に十分な母乳育児支援が受けられない理由」をいくつか挙げてみます。

  1. 母体の術後管理と新生児管理を完全に分けている病院もある。
  2. 帝王切開術後は赤ちゃんを「〇時間は全員保育器管理」と決めている病院もある。
  3. 術後の授乳介助はスタッフが付きっ切りになる必要があるが、それをするだけの人手・スタッフのキャパシティがない。
  4. スタッフが産後直後からの授乳・搾乳・乳頭刺激の重要性を理解していないこともある。(残念ながら母乳育児支援に熱心な人ばかりではない)
  5. 安全管理を理由に、添い乳自体を禁止している病院もある。などなど…

こうして羅列してみると「帝王切開になると母乳育児は絶望的…」のような気分になりますが、

  • 病院的にできてもできなくても、とりあえず自分の希望は伝えておく。
  • 自分でできることを、できる範囲でやる。

というスタンスでいることが重要だと思います。(本当は「母乳育児を希望します」と言うだけで、帝王切開術後も必要な支援が受けられるといいんですが…)

まとめ

「母乳だけ」を目指すにせよ、混合栄養を希望するにせよ、母乳育児したい場合のバースプランの書き方例と、その根拠についてまとめました。

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