「離乳食を食べない⇨断乳」で食べるようになるとは限らない

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助産師16年&母乳育児支援者&一児の母。助産師の仕事の中でも特に母乳育児支援が好きで、たくさんの母子の母乳ライフのお手伝いをしてきました。 「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、母乳育児を科学的な視点+リアル感覚の両方から解説しています。趣味は子ども服作り。

生後6ヵ月頃から始める補完食(いわゆる離乳食)ですが、

  1. 少ししか食べない子
  2. ほとんど食べない子
  3. 本当にまったく食べない子

など、お母さんやお父さんが想像していたようには食べてくれないことも珍しくありません。

そんな時に栄養士・保健師・助産師・小児科医・家族などからよく聞くアドバイス⇩

これってホント?補完食を食べない時によく聞くアドバイス
  • 「母乳やめれば食べるようになるよ!」
  • 「そんなに母乳飲んでちゃ食べるようにならないよ」

このページでは、「子どもが補完食を食べない時に、母乳を与えるのをやめた方がいいかどうか」についてまとめていきます。

結論だけを先に言うと、「子どもの発育・発達状況を確認しながら、基本は母乳育児を継続しながら、食べられるようになる時を試行錯誤して待つ」だと考えています。

断乳したからといって、子どもが食事を食べるようになるとは限らない

断乳したら、本当に子どもは食事を食べるようになるのでしょうか?

ミカ子
断乳をきっかけに食べるようになる子がいる一方で、断乳しても食事摂取状況に変化がない子もいます。

つまり賭け、イチかバチかのギャンブルです。

母乳相談の仕事をしていると、「『断乳すれば食べるようになる』というアドバイスに従って断乳したけど、思っていたほど食べるようにならないし、母乳もあまり出なくなってしまったし…」と相談に来られる方が時々いらっしゃるのです。

授乳や搾乳をしなくなれば母乳分泌は必ず減るし、乳腺炎などのトラブルの原因にもなる

母乳が出る仕組みの基本中の基本ですが、母乳は「出した分だけ新しく作る」という、在庫を一切抱えない優秀な生産システムになっています。

これは裏を返すと、赤ちゃんが飲む量・搾乳量が減れば、その分確実に母乳分泌量が減るということを意味します。

また、授乳回数が多い状態で急に断乳すると、作られた母乳が乳房内にうっ滞するので、乳腺炎などのトラブルを起こすリスクがあります。

もし、「赤ちゃんの食事量アップ目的で授乳量を減らしてみたい」とお母さん自身が思った場合は、授乳を急に辞めるのではなく、お子さんの様子・食事量を見ながら徐々に回数を減らす方が安全だと思います。

一度分泌低下した母乳をもう一度出るようにするのはとても大変です

先述した通り、授乳量・搾乳量が減れば、当然の結果として母乳分泌量は減ります。

困るのは、断乳(あるいは減乳)してみて結果的に食べないままだった場合、再び母乳分泌を元の状態に復活させるのはけっこう大変だということ。

1回の授乳で出せる母乳量が減っているので、母乳分泌を元に戻したい場合は、授乳回数・搾乳回数を増やしてカバーする必要があります。(頑張って工夫しても元の分泌量には戻らない方もいます)

生後6ヶ月以降となると、

  1. 補完食の準備もしないといけない
  2. 月齢が上がってきて、それなりに外の世界へ遊びに連れ出してあげる必要がある
  3. 今までつちかってきた生活リズムがある

ので、そこから授乳回数を増やしたり、新たに搾乳を始めるのは大変と感じるお母さんが多いのではないかと思います。

断乳⇨母乳分泌低下⇨でも食べなかったら、子どもの栄養源がなくなってしまう

そして最大の懸念は、

ミカ子
断乳・減乳をして母乳分泌が減ってしまったけど、食事摂取量が増えなかった場合、お子さんの栄養源がどこにもなくなってしまうことです。

ミルクが飲めるお子さんなら断乳して食べなかったとしても栄養不足になることはないと思いますが、補完食(離乳食)をまったく受け付けないお子さんの中には「母乳しか飲まない、ミルク拒否」という子が多い印象があります。

先述した通り「食べなかったらまた授乳すればいいか!」と思っていても、気付いた時には母乳分泌が激減していて、原状回復させるのに多大な労力が必要になることが多いので、安易に「食べない=断乳」と考えない方がいいと思うのです。

子どもが食事を食べてくれるように試行錯誤を続けること&子どもの健康チェックは必須

ここまで読んできて、「食べないけど、このままの授乳を続ければいいか!」と思った方もいると思います。

ですが、これには前提条件が2つあります。

  1. お子さんの発育・発達が医学的に順調かどうか、しっかり小児科医に確認してもらうこと。
  2. 「食べられるようになるにはどうすればいいか」試行錯誤や工夫は継続すること。

①の状況によっては、例えば日中の授乳は回数を減らした方がいい場合もあるかもしれませんし、反対にむしろ授乳回数を増やしたり吸い付き方を修正した方がいい場合もあるかもしれません。

  • お子さんの発育・発達・健康状態
  • 授乳状況、食事摂取状況
  • お子さんのキャラクター
  • お母さんを含めた家族の事情

などの状況はそれぞれの家庭で異なりますので、状況に応じた柔軟な対応策を支援者と相談してほしいと思います。

誰に相談したらいい分からない場合は、IBCLC(国際認定ラクテーション・コンサルタント)が行っている母乳相談外来に行かれるといいと思います。

②の「『食べられるようになるにはどうすればいいか』試行錯誤や工夫は継続すること」は、大変だと思いますが重要です。

現状で、食べなくても子どもの成長に必要な栄養を母乳でまかなうことができていても、子どもは日々成長し続け、必ず母乳だけでは栄養が不足する時期が来るからです。

少食の子どもをサポートしていく時のポイントについては「離乳食を食べてくれない!子どもの少食・偏食をサポートする10個のコツ」でまとめていますので、併せてご覧ください。

補完食(離乳食)を食べない子どもをサポートする10個のコツ

2019年4月10日

まとめ

今でも、健診場面などで「断乳すれば食べるようになる」「1歳過ぎたんだし、いつまでもおっぱいあげてるから食べないのよ」という、迂闊には口にしてはいけないような迷信的助言がたくさんあるようです。

ここまでまとめてきたように、本当に断乳が最適な選択肢かどうかは、授乳状況・食事摂取状況・お子さんの発育などを総合的&細かく診ないと分かりません。

繰り返しになりますが、一度断乳したおっぱいをもう一度復活させるのは大変だし、断乳によって余計に問題が深刻になることもあります。

断乳を決行する前に、本当にそれが必要か・最適か、よく検討していただけたらと思います。