【痛くない授乳のコツ】フットボール抱きのコツ9個

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授乳スタイルには色々な種類がありますが、このページではフットボール抱きで授乳する時の具体的なコツについてまとめています。

コツを駆使して適切に授乳できると、こんなメリットがありますよ。

  1. 赤ちゃんが乳房に深く吸いつくことができる。
  2. 乳首が痛くならない。
  3. 母乳がたくさん出るようになる。
  4. 赤ちゃんが母乳をたくさん飲み取れるようになる。
  5. 古い母乳がおっぱいの中に残らないので、しこり・乳腺炎・異常な張り等のトラブルを防ぐことができる。




フットボール抱きでのコツ①:乳首と赤ちゃんの口の高さが同じになるようにする

フットボール抱きでの最もキモの部分になるのが、「赤ちゃんの口の高さ=乳首の位置」になるように十分な高さを確保することです。

クッションだけでは「赤ちゃんの口の高さ=乳首の位置」にならないことも多いので、

  • 布団を丸めて使う
  • 画像のようにテーブル・ソファー・低めのベッドを使う

など、高さのボリュームを出せる工夫をするといいと思います。

注意
比較的高い場所に赤ちゃんを乗せて授乳することになるので、授乳の合間などに目を話して転落させないように十分注意してくださいね!

フットボール抱きでのコツ②:赤ちゃんの頭~おしりは一直線&同じ高さになるようにする

丸めた布団、ソファーなどで高さ調節したら、横から見た時に「赤ちゃんの頭の高さ=おしりの高さ」になっているか確認しましょう。

「頭の高さ>おしりの高さ」になる人が多いのですが、傾斜があると授乳しているうちに赤ちゃんの位置がズレてくることがあるので、できるだけ同じ高さになるようにします。

フットボール抱きでのコツ③:お母さんの脇の下でラグビーボールを抱えるように赤ちゃんを抱き、2人の体が密着するようにする

赤ちゃんの体とお母さんの体の間に隙間が少しでもあると、乳頭との物理的な距離が長くなるため、吸着も浅くなる事が多いです。

手の平だけでなく肘まで使って、赤ちゃんの体を自分の体に巻き付けるように、赤ちゃんをお母さんの体と密着させましょう。




フットボール抱きでのコツ④:赤ちゃんの片手はお母さんのアンバーバストに出るようにする

赤ちゃんの下側になる手がお母さんの体との間に入ると、③のコツ「二人の体を密着させる」の邪魔になることがあります。

赤ちゃんの手は上記画像の赤い〇部分から出るように注意してくださいね。(画像ではクマちゃんの手が見えていないのですが、ご容赦ください)

フットボール抱きでのコツ⑤:片手を使って乳房を優しくつぶす

⇧ひだり乳房をフットボール抱きで授乳する時に、みぎ手での乳房の支え方(本来ならひだり手は赤ちゃんの頭を支えている)

生まれたての赤ちゃんにとってのおっぱいは、私たち大人にとっての「佐世保バーガー級」に大きなものです。

いくら口を大きく開いても乳輪近くまで深く吸着しきれないことも多々あります。

赤ちゃんの体を支えているのと反対の手で、おっぱいを優しくつぶすようにしてみましょう。

⇧ひだり乳房をフットボール抱きで授乳する時に、みぎ手での乳房の支え方

⇧赤ちゃんの口の開きに対して反対方向に乳房をつぶすと吸着しにくくなります。

この画像⇧は、ひだり乳房をフットボール抱きで授乳する時に、みぎ手で乳房をつぶしているところです。

上の画像は赤ちゃんの口の開く方向に併せて乳房をつぶせていますが、下の画像は口の開きに対して反対になるので、深い吸着を妨げる可能性があります。

このテクニックを「C字ホールド」と呼びますが、こちら⇩の記事で詳しく解説していますので併せてどうぞ。

乳房・乳頭トラブルを予防・改善する乳房の支え方「C字ホールド」

2019年2月7日

フットボール抱きでのコツ⑥:赤ちゃんの下あごをおっぱいに付けて、赤ちゃんの顔がちょっと上向きになるようにする

⇧大人が飲み物を飲む時に首を少し反らるように、授乳時の赤ちゃんは上を仰ぎ見るようにする。

私たち大人が何か飲み物を飲む時には、この画像⇧のように上を向いて飲みますよね?

赤ちゃんが授乳する時も同じで、うつむいた状態ではうまく飲み込むことができなかったり、深い吸着の妨げになります。

赤ちゃんの頭を手で支える時には、赤ちゃんが上方向を仰ぎ見るような感じにサポートしてあげることも大切なポイントです。

この時に「赤ちゃんの下顎がおっぱいにくっつくように」⇩意識するとうまくいくと思います。

フットボール抱きでのコツ⑦:赤ちゃんが大きな口を開けるのを待って、素早くくわえさせる

「あ~!赤ちゃんがおっぱい欲しがってる!早くあげなくちゃ!」

という感じで、小さくしか開いていないお口に乳首をねじ込むように吸い付かせると、痛いし母乳もあまり出ません。

赤ちゃんがあくびをしたように大きな口を開けるまで待ってから吸い付かせましょう。

【大きく開けた口にタイミングよく素早く吸い付かせるコツ】

  1. 泣き始めてから授乳を始めると赤ちゃんが怒り過ぎてうまくいかないので、モゾモゾしたり、手をなめたり、静かに覚醒してキョロキョロしたりしたら、泣き始める前に授乳を始める
  2. 乳首の先で赤ちゃんの唇をなぞったりツンツンしたりして、大きなあくびをしたような口になるまで気長に待つ
  3. 口を大きく開いたら口を閉じきる前に、素早く!でも優しく!口の奥深くに乳首が入るように赤ちゃんを引き寄せる
  4. もしタイミングを逃して浅いところまでしかくわえさせることができなかったら、何度でもやり直す
    「浅くてもとりあえず吸えてるからまぁいっか!」という妥協は「乳首痛い!」の元凶です。




フットボール抱きでのコツ⑧:乳首が赤ちゃんの上あごに向かうように吸着させる

直接授乳の際には、赤ちゃんの口の中の上にあるドーム状になっている部分に乳首を引き込んで吸てつします。

つまり、乳首は赤ちゃんの上あご目掛けて吸着させた方がうまくいくんですね。

どうすれば、上あごに向かって吸着できるか、ポイントを以下にまとめていきます。

乳首が赤ちゃんの上あごに向かい、うまく吸着できる時

①乳首は赤ちゃんの鼻辺りでスタンバイ

⇧乳首のスタートポジションは「赤ちゃんの鼻先」

②乳輪の下端で下唇を押し下げて大きく開口させながら

③乳首を上唇から滑り込ませるようにして

⇧乳首を滑り込ませる!

④おっぱいにかぶりつくように吸着し、乳輪がほぼ隠れる「深い吸着」の完成♪

⇧深く吸着できた♪

乳首が赤ちゃんの舌に向かって吸着が浅くなるとき

上記とは反対に、よくあるうまくいかないパターンもご紹介しておきますね。

①乳首を赤ちゃんの口の正面でスタンバイ

⇧赤ちゃんの口の真ん中目掛けて吸着させると…

②開口が小さいまま吸着し、乳首しか赤ちゃんの口に入らない

⇧深く吸着する前に吸てつが始まってしまって、うまくいかない(痛い・母乳が効率よく出ないなど)




フットボール抱きでのコツ⑨:赤ちゃんの唇を内側に巻き込まないように修正する

ここまでのコツを全部駆使してもそれでも「深く吸えてるはずなのに痛いな…」と思う時は、赤ちゃんの唇が内側に巻き込んでいる場合があります。

吸い付かせたら赤ちゃんの唇が外側にめくれているか確認して、巻き込んでいたら指で外側に出るように修正してあげましょう。

下唇の巻き込みは、赤ちゃんの下あごの皮膚を押し下げるようにすると修正できますよ。

ミカ子
助産師はよく「ドナルドダックみたいな口になるように!」と表現します。




まとめ

フットボール抱きでのコツについてまとめました。

コツを駆使して深い吸着ができると、痛みや傷が出にくく、母乳を効率よくたくさん飲めるので、母乳育児が少しラクに簡単になると思います。

フットボール抱きでのコツまとめ
  1. 乳首と赤ちゃんの口の高さが同じになるようにする
  2. 赤ちゃんの頭~おしりは一直線&同じ高さになるようにする
  3. お母さんの脇の下でラグビーボールを抱えるように赤ちゃんを抱き、2人の体が密着するようにする
  4. 赤ちゃんの片手はお母さんのアンバーバストに出るようにする
  5. 片手を使って乳房を優しくつぶす
  6. 赤ちゃんの下あごをおっぱいに付けて、赤ちゃんの顔がちょっと上向きになるようにする
  7. 赤ちゃんが大きな口を開けるのを待って、素早くくわえさせる
  8. 乳首が赤ちゃんの上あごに向かうように吸着させる
  9. 赤ちゃんの唇を内側に巻き込まないように修正する

他の抱き方でのコツも解説していますので併せてご覧ください。

【痛くない授乳のコツ】横抱きのコツ10個

2019年2月8日

【痛くない授乳のコツ】タテ抱きのコツ10個

2019年2月10日

どの抱き方での授乳にも共通する基本的なコツは、こちら⇩の記事にまとめていますので、併せてどうぞ!

母乳が出ない!乳首が痛い!を解決する、10個の授乳のコツ

2019年2月6日

乳房・乳頭トラブルを予防・改善する乳房の支え方「C字ホールド」

2019年2月7日