母乳育児を軌道に乗せるために、夜間授乳が大事なワケ

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助産師&母乳育児支援者&一児の母。 「ちょっとの勉強で、妊娠・出産・母乳・育児はもっとラクチンできる」「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、科学的な視点+リアル感覚の両方から周産期のことを解説しています。

母乳がどのように作られ、出てくるかについては「母乳の基礎量を決めるのは出産から約1週間」で解説していますが、

  1. 頻回授乳が重要
  2. 昼夜を問わず授乳することが大事

と繰り返し解説しています。

今回は「何で夜まで授乳を頑張らないといけないの…?最初の1週間なんてお産で心身ともにクタクタなのに…?」というところにフォーカスしてみたいと思います。

この記事で分かること
  1. 母乳育児を軌道に乗せるのに、夜間授乳が重要なワケ
  2. なるべく負担を少なく、夜間授乳をするためのポイント

母乳育児を軌道に乗せるのに、夜間授乳が重要なワケ

 

「母乳育児を軌道に乗せるために夜間授乳が重要」と言っている理由は、プロラクチンというホルモンの分泌の特徴からです。

プロラクチンってなんだっけ??

母乳の基礎量を決めるのは出産から約1週間」の復習になりますが、「授乳期におけるプロラクチンの大きな役割=母乳を作ること」です。

分娩と同時に激減していくプロラクチン値を少しでも高く保つことが、母乳の基礎量が決まる分娩後最初の1週間ではとても重要です。

このプロラクチン分泌を増やすために有効なのが、頻繁な乳頭刺激(つまり授乳や搾乳)です。

…が!実はもう1つプロラクチン分泌が増える事象があって、それがスバリ「睡眠」なのです。

夜中に寝ぼけたまま授乳すると、プロラクチンがたくさん分泌されて→より多くの母乳を作ることができる体になる!

というのが、母乳育児を軌道に乗せたい人に夜間授乳をオススメする理由なのです。

なるべく負担を少なく、夜間授乳をするための4つのポイント

「夜まで授乳しなきゃいけないとか、母乳育児ハードすぎ…!」

と思う人もいるかもしれませんね。

ここでは夜間授乳を実現するためのポイントを5つご紹介します。

なるべく負担を少なく、夜間授乳をするためのポイント①:昼寝する

当たり前と言えば当たり前なのですが、夜眠れない分は昼間に眠るのです。

生まれたての赤ちゃんも、夜よりは昼間の方がよく眠ることがよくあります。

「赤ちゃんが寝た!」と思った瞬間に「あの家事やらなきゃ!」「面会の人の対応しなきゃ!」と思うか、「やっと寝れる!」と思うかの違いは、母乳育児が軌道に乗るかどうかにおいては大きな分かれ道のような気がします。

先ほど「睡眠時に母乳を作るプロラクチンがたくさん分泌される」と解説しましたが、夜の睡眠だけでなく、昼寝をすることでもプロラクチンがたくさん分泌されるはずなので、こま切れでも睡眠時間の総量が多い人の方が母乳量が増えるのではないかと考えています。

なるべく負担を少なく、夜間授乳をするためのポイント②:面会者は最低限に、気の置けない人だけにする

母乳の基礎量が決まる分娩後最初の1週間に、

  • 夜間授乳したり
  • 昼寝したり

するためには、とにかく昼間の時間に余裕がないといけませんよね。

病院入院中は、沐浴指導、退院指導、退院診察…とイベント目白押しなので、面会に時間・労力を割き過ぎると、昼寝する時間はなくなってしまいます。

ですから、面会は

  • 最低限の人だけになるように調整する
  • 面会中でも「私昼寝するからちょっと赤ちゃんと一緒にいてね。赤ちゃん見といてね。」と言えるくらい、気の置けない人だけにする

必要があると思います。

なるべく負担を少なく、夜間授乳をするためのポイント③:家事は全部は人任せ・家電任せ・外注任せにする

退院後は「昼寝しろ」って言われたって、生活する以上はやらなきゃいけない家事がありますね、もちろん。

母乳育児が軌道に乗るまで(目安として産後1~2ヶ月まで)は、

  • 使える人は全員使い
  • 使える便利家電は全部使い
  • 使えるサービスは全部使う(家事代行・食材宅配サービスなど)

のが大事だと思います。

コストが一番かからなくていいのは、実母やパートナーに家事を丸投げしてしまって、お母さんは自分と赤ちゃんの生命維持だけに集中できるようにすること。

「仕事もしてないんだから家事くらいやらなきゃ…!」と考える人が多い印象がありますが、赤ちゃんが生まれて最初の1~2ヶ月は特に、「新人母さん」なワケですから、マルチタスクはなかなか難しいと思うのです。

  • 無理に無理がたたると、誰でも産後うつになったり、産後の疲れがいつまでも抜けなかったりと、心身に不調をきたすことがありえます。

    「人に頼めることは思い切って甘える」

  • 「お金で解決できることはお金で解決してしまう」

のが、産後の生活を長い目で見た時にはいいんじゃないかと思います。

なるべく負担を少なく、夜間授乳をするためのポイント④:どうしても自分で家事をしないといけない場合は、「産後すぐは家事を全部はできない」と割り切る

  • 「そんなこと言われても、身内には頼れる人が誰もいない」
  • 「便利家電とか家事を外注するだけの経済的余裕がまったくない」

というご家庭もありますよね。

お母さん1人で家事も育児もすべてを背負わなければいけないご家庭が多いのも事実です。

そういう時は「家事の完成度・理想」をぐ~~~んと!下げるしかありません。

深刻なアレルギーがあるなら別ですが、しばらくの間ワタ埃が部屋の隅にあったって、たいていは病気になったりしません。

  • 掃除は赤ちゃん抱きながらクイックルワイパーでできる範囲だけ
  • 洗濯は部屋干しして、そこから「ブドウ狩り」状態にして畳まない
  • 食事は「焼くだけ」「温めるだけ」の準惣菜を活用

など、手抜きできるポイントはたくさんあります。

それでも、夫・パートナーが行き届かない家事に苦言を呈するご家庭もあるかもしれません。

Googleで「産後の妻が家事をしません」と検索すると、似たような状況の家庭の相談が山ほど出てきます。

夫婦間で家事の理想像に乖離がある場合は、そういう投稿や、投稿に寄せられたアンサーの内容を2人で共有すると、もしかしたら解決の糸口になるかもしれません。

なるべく負担を少なく、夜間授乳をするためのポイント⑤:添い乳をマスターする

ポイント①~④は「夜眠れない分を昼寝で補うためにどう対処するか」についてまとめてきました。

ポイント⑤は、「夜間授乳そのものをラクにする方法」です。

ご存知の方も多いと思いますが、添い乳をすると夜間授乳の負担はかなり減らすことができます

添い乳のやり方は文章より動画が分かりやすいので、下の動画(開始後35秒~)をご覧ください。

注意
この動画はソファーで赤ちゃんを外側(背もたれと反対側)にして添い乳していますが、転落防止のため、

  • ベッド、ソファーで添い乳する時は、赤ちゃんは必ず壁側・背もたれ側
  • できるだけ床に敷いた布団で

添い乳するようにしてくださいね。

  • 「添い乳は怖くてできない」
  • 「やり方が分からない」
  • 「やってみたけどうまくいかなかった」

という方も多いかもしれませんが、いくつかのコツを知っていれば、多くの人は添い乳に慣れることができると思います。

添い乳のコツ
  1. お母さんの枕は高め(いつもより1.5~2倍くらい)にする。
  2. ②赤ちゃんの頭は腕枕しない。お母さんの脇の下のスペースに入れる感じに。
  3. 赤ちゃんのお腹とお母さんのお腹がピッタリくっつくようにする。
  4. 赤ちゃんの口がお母さんの乳首の位置にくるように調整する。
  5. 赤ちゃんが大きな口を開けるのを待って、腕全体を使って赤ちゃんを引き寄せ、「深い吸着」にする。
  6. お母さんの背中、太ももの間にクッションを入れると、更にラク

夜間授乳がどうしても辛くてできない人はどうすればいい?

ここまで

  • 母乳育児を軌道に乗せるために夜間授乳が必要な理由
  • 負担を少なく夜間授乳をするためのポイント

についてまとめてきました。

…が!!夜の授乳がどうしても苦痛で仕方ない人もいますよね。

  • 「とにかく夜は眠りたいんだ!」という欲求が強い
  • 昼間は上の子の相手や家族の介護で大変だから、せめて夜は眠りたい!

という人にとっては、夜間授乳が大きなストレスになることもあるようです。

母乳育児をしたい気持ちと、夜間授乳の負担とを天秤にかけて、どちらに重きがあるかは人それぞれです。

「母乳だけ」「母乳メイン」で育てることだけが正しいわけではないので、母乳が作られる仕組みを理解した上で、夜間授乳をするか否かは自分に合った方を選べはいいと私は思います。

多少でも母乳をあげているのならミルク寄りの混合栄養だって「母乳育児」ですし、母乳は与えたら与えた分だけ赤ちゃんに恩恵がある訳ですから、それぞれのご家庭の事情・自分のキャラクターに合ったやり方を模索してください。

どうしても夜ちょこちょこ起こされるのがイヤな人は「母乳だけ」「母乳メイン」で育てることはできないかもしれないけど、自分が許容できる範囲で、ライフー母乳バランスを取ればいいんじゃないかなと思います。

まとめ

  1. 母乳育児を軌道に乗せるために夜間授乳が必要な理由
  2. 負担を少なく夜間授乳をするための4つのポイント
  3. 夜間授乳がどうしても辛い・イヤな時の考え方

についてまとめてきました。

単に「夜も授乳してね!」とだけアドバイスされても、理屈が分からないままで闇雲には頑張れない人もいると思います。

プロラクチンの分泌特徴を知ることで夜間授乳に前向きに&少しでもラクに取り組むことができ、希望通り母乳育児が早く軌道に乗ればいいなと願っています。