母乳育児中(混合栄養含む)の過飲症候群の防止・改善のためにできること

The following two tabs change content below.
助産師16年&母乳育児支援者&一児の母。助産師の仕事の中でも特に母乳育児支援が好きで、たくさんの母子の母乳ライフのお手伝いをしてきました。 「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、母乳育児を科学的な視点+リアル感覚の両方から解説しています。趣味は子ども服作り。
頻繁に母乳をあげると過飲症候群にならない?

過飲症候群のような症状があるけど、授乳間隔を開けた方がいいの?

という疑問にお答えします。

この記事で分かること
過飲症候群の防止・改善のためにできるのは以下の2点ということ。

  1. 母乳は後乳まで飲ませる。
  2. ミルクを与え過ぎない。(ミルク缶の授乳量目安はアテにはならない)

母乳育児中(混合栄養含む)の過飲症候群の防止・改善のためにできること

「過飲症候群」って何?

過飲症候群を初めて聞くという人もいると思いますので、最初に簡単に説明しておきますね。

過飲症候群は病気ではなく、たくさんの母乳・ミルクを飲むことで引き起こされる「状態」をあらわすものです。

過飲症候群の症状
  1. 50g/日以上の体重増加
  2. いつ乳(吐くこと)が多い
  3. よくいきむ
  4. 呼吸がゼコゼコする、鼻づまり
  5. おなかがパンパンに膨らんで、時に出臍になる
  6. 呼吸が多くて苦しそう
  7. 便秘あるいは頻回のジュルジュル便
  8. よくぐずる、よくのけ反る

過飲症候群の防止・改善のためにできること①:母乳は後乳まで飲ませる

母乳だけで育てていて過飲症候群を引き起こす可能性があるとしたら、その原因は頻回授乳であることよりも、「後乳が十分飲めていない」ことが原因のことが多いと思います。

後乳とは?
授乳の後半に出てくる脂質を多く含む母乳のことです。

母乳は飲み始め~飲み終わりまで均一な成分が分泌される訳ではなく、授乳後半に向かって脂肪・脂溶性ビタミンを豊富に含む「後乳」へと変化していきます。(前半に出る母乳を「前乳」と呼びます)

母乳が分泌する様子を文章で表すと、

  1. 赤ちゃんの飲み始め:母乳はジワジワ・ポタポタ出る
  2. しばらくすると(1分位):シャーシャーと勢いよく母乳が出る(射乳する)
  3. 射乳の勢いが衰えて
  4. またジワジワ・ポタポタに戻る or ほとんど出なくなる

となりますが、②の射乳の後半~終わりにかけて、脂肪・脂溶性ビタミン豊富な「後乳」が出てくるのです。

「後乳は脂肪が豊富」ということは、同じ量の母乳であっても、後乳をしっかり摂取できる④まで飲んだ赤ちゃんは摂取できるエネルギー量が多くなります

【後乳はいつから出る?】
「授乳開始後〇分から後乳」という明確なものではなく、グラデーションのように変化していきます。

後乳まで飲み終わると赤ちゃんが乳首を自分から外すこともありますし、「明らかにほとんど飲んでいないのに、惰性でチュクチュクしてるだけだな~」という時は、お母さんの指を使って、痛くないように乳首を外して授乳を終わりにするやり方もあります。

乳首の外し方のコツ】

  1. 授乳前にお母さんの手・指は清潔にしておく。
  2. 赤ちゃんの口角から指を1本入れる。(人差し指か小指がやりやすい人が多いです)
  3. 指を赤ちゃんの歯茎と歯茎の間に入れる。
  4. 歯茎の間に隙間ができたら、そっと乳首を外す。

⇧口角からママの指を入れて、優しく乳首を外す。

指を上下の歯茎の間に差し込むというのがポイントです♪

つまり、短時間切り替え授乳をしていて前乳メインで飲んでいる赤ちゃんは、ローカロリーな母乳をたくさん飲むことになります。

ですから前乳メインで飲んでいるとエネルギー量が足りず、飲んでも飲んでもおなかが空く状態になり、必要以上に頻回に・大量に母乳をほしがり、過飲症候群になる可能性があると考えられます。

母乳を与えるのに頻度や所要時間に制限はありませんが、後乳まで飲ませることは意識した方がいいと思います。(過飲症候群防止のためだけでなく、適切な体重増加や負担の少ない授乳回数にするためにも)

過飲症候群の防止・改善のためにできること②:後乳を飲ませる+ミルクを足し過ぎない

母乳+ミルクの混合栄養の場合は、先述した①の「後乳まで飲めていない」に加え、「ミルクを足し過ぎている」ことが過飲症候群になるリスクを高めると思います。

ミルク缶には授乳量の目安が書いてありますが、混合栄養で育てている場合、あの表示はアテにならない…というか、母乳もあげたいと考えている方にとっては多すぎることがほとんどのように思います。

母乳はどれだけ飲めているか目で見て評価できないので不安になると思いますが、後述する「授乳量が足りているサイン」を手掛かりに、ちょうどいいミルク量を探していく必要があります。

赤ちゃんが十分飲めているかどうかは以下のようなことから判断することができます。

【授乳量が足りているサイン】
  1. あかちゃんのおしっこが1日6回以上・薄い色で・紙オムツにずっしりと出ている。
  2. 体重増加が適切

体重増加が適切かどうかの考え方は以下の記事⇩を参考になさってください。

母乳やミルク、足りてる?足りない?を見分ける2つの方法

2019年3月1日

生後3ヵ月頃までの体重増加は+20~35g/1日が目安。赤ちゃんの体重増えてない?増えすぎ?に答えます。

2019年3月8日

「ミルクだけ」の場合は授乳間隔に注意が必要

ここまでは「母乳だけ」あるいは「混合栄養」で育てていることを想定してまとめてきましたが、ミルクだけで育てている場合は、赤ちゃんが泣くたびにミルクを与えると多すぎる可能性があると思います。

「ミルクだけ」で育てている場合は、授乳間隔は2~3時間は開けるように工夫する必要があります。

赤ちゃんは

  • 寂しい
  • 抱っこしていてほしい
  • 暑い/寒い
  • オムツが気持ち悪い
  • 眠いけど眠れない

など、空腹以外にも泣く理由がたくさんあります。

十分ミルクを与えてるいるのに泣く時は、「飲みたい」以外の欲求がないか探索すると共に、

  • 屋外に出て散歩する
  • 車でドライブしてみる

などすると赤ちゃんの気分が紛れるかもしれませんね。

まとめ

結論として私からのご提案は、過飲症候群を予防・改善するために先述した2つのポイント

  1. 母乳を後乳まで飲ませる
  2. ミルクを過剰に与え過ぎない

を押さえていれば、「授乳間隔を〇時間空ける」はそれほど気にしなくてもいいのではないかと思います。

授乳間隔・授乳時間の基本的な考え方については、「母乳育児の時の授乳間隔・授乳時間はどう決める?」でまとめていますので、併せてご覧くださいね。