赤ちゃんの授乳拒否!これって乳頭混乱?解決法は?

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助産師16年&母乳育児支援者&一児の母。助産師の仕事の中でも特に母乳育児支援が好きで、たくさんの母子の母乳ライフのお手伝いをしてきました。 「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、母乳育児を科学的な視点+リアル感覚の両方から解説しています。趣味は子ども服作り。

授乳のお困りごとでけっこう多い「乳頭混乱」。

「妊娠・出産するまでその言葉すら知らなかった」という人も少なくありませんが、産後生活のストレスの有無にかなり影響します。

「乳頭混乱」ってなに?=赤ちゃんが授乳を拒否するかのように飲みたがらない状態

相談の場面でも「これって乳頭混乱ですか?」と聞かれることが多いので、まずどういう状態が乳頭混乱なのか?についてまとめます。

乳頭混乱はこんな状態
  • 哺乳瓶の乳首・おしゃぶり・ニップルシールド(乳頭保護器)の感触と、お母さんの乳頭・乳輪の感触とが違うことにより、赤ちゃんが乳房に吸い付いたり、適切に母乳を直接飲んだりできなくなること。
  • 授乳しようとすると、赤ちゃんが授乳を嫌がるようにのけ反ることもある。
  • のけ反りはしないけど、直接授乳しようとすると頑なに口を閉ざして静かに授乳拒否することもある。

それまで混合栄養だった赤ちゃんが「哺乳瓶の方を」拒否して母乳しか飲みたがらなくなった、というのも広い意味では乳頭混乱だと思いますが、一般的には「乳房から直接母乳を飲みたがらなくなった状態」を乳頭混乱と呼びます。

「乳頭混乱の解決法はこれ!」は、ない。

乳頭混乱の大変さ・つらさは実際になってみないと分からないのもですが、授乳しようとするたびに授乳を拒否されるというのは、産後間もないお母さんにとっては大変なストレスです。

  • 「授乳しようとすると赤ちゃんが全力で拒否するので、母親としての価値を否定されてるようで悲しい」
  • 「授乳する度に自信がなくなって不安が大きくなる」
  • 「哺乳瓶で与えればピタリと泣き止むのに、私のエゴで授乳(母乳育児)しようとしてるんじゃないかと思えてつらい」

というような表現をされる方が多い印象があります。

授乳は1日に少なくとも8~10回もやらなければいけない訳で、今後何ヶ月も授乳生活は続く訳で、「こんな状況がいつまで続くんだろう」という見通しのなさに絶望的な気分になり、心身ともに消耗される方が多いです。

早く解決して、穏やかに授乳したいですよね。

最初に結論だけを言うと、

「こうすれば乳頭混乱が解決します!」

というたった1つの回答はないです。残念ながら。

お母さんと赤ちゃんの組み合わせ分だけ解決方法は無限にあって、解決に要する期間も本当に様々です。

ですから、大変ではあるけれど、腰を据えて手探りで赤ちゃんの「うん、飲んでもいいよ」になるポイントを探していくことになります。

その探索のヒントになりそうなことを、次にまとめていきます。




乳頭混乱の解決に向けた選択肢6つ

先述した通り、何が乳頭混乱の解決に結びつくかは親子それぞれで、選択肢とその組み合わせは無数にありますが、その内の6つをご紹介します。

乳頭混乱解決の選択肢①:赤ちゃんにとって乳房付近が「痛い場所・苦痛な場所」になっていないか確認し、「授乳=気持ちいい」を作る。

直接授乳拒否の原因が哺乳瓶の乳首ではなく、「授乳姿勢になると痛いから・つらいから」という場合もあるので、「これは乳頭混乱!」と考える前に授乳時の赤ちゃんの快適性を見直す必要があります。

例えば頭血腫がある場合。

頭血腫とは、簡単に言うと、狭い産道を通り抜ける時に赤ちゃんの頭にできる「たんこぶ」のようなものです。経腟分娩だけでなく、帝王切開でできる赤ちゃんもいます。

いわゆる「たんこぶ」なので、触ると痛いです。

授乳する時に、この頭血腫が下になって授乳クッションや、お母さんの体で触ったりしていないか注意し、触れなくていい授乳姿勢を工夫します。

横抱き縦抱きフットボール抱きなど、左右で異なる抱き方が必要になる場合もあります。

また、授乳をする時に赤ちゃんの頭を乳房にぎゅっ!と押し付ける力が強くてイヤ!という子もいます。

深く吸い付いてもらうために良かれと思ってしていることが、赤ちゃんにとっては苦痛である場合もあるので、赤ちゃんが自分から大きな口を開けて吸い付いてくれるのを気長に待つのが必要なケースもあります。

乳房に吸い付いた時に赤ちゃんがうつむき気味になっている場合には「息がしにくくて苦しい」ということもあるので、適切な吸い付きの角度になっているか確認・調整します。

大人が飲み物を飲む時に天井を仰ぎ見るような角度になるのと同じで、赤ちゃんも頭を後ろにひいたような角度にして授乳した方が楽です。

乳頭混乱解決の選択肢②:乳頭混乱の元になっているもの(哺乳瓶の乳首など)の使用をやめてみる

赤ちゃんの直接授乳拒否の原因が本当に乳頭混乱の場合は、まずは原因になっている人工乳首、おしゃぶりなどの使用を中止する、という選択肢です。

補足=哺乳瓶というイメージが強いですが、人工乳首の代わりにコップやスプーンで搾母乳やミルクを補足することもできます。

コップ授乳は赤ちゃんによって得意・不得意があるように感じますが、多くの場合はコツをつかめると簡単にできます。

ニップルシールドを使用中の場合は、授乳の途中から外してみる、赤ちゃんが寝ぼけている時には外してみるなどの挑戦を続けてみます。

ただ、ニップルシールドを使用しながら十分な母乳分泌量を維持し、乳頭混乱を起こさないように(起こしている場合は改善するように)注意し…というのはけっこう高度な技が求められるので、支援者の元でニップルシールド卒業を視野に入れて使用する、というのが基本です。




乳頭混乱解決の選択肢③:赤ちゃんに「おっぱいから直接飲んでね」とお話しする

意外に思われるかもしれませんが、「赤ちゃんへの説明とお願い」はけっこう重要だと思っています。

母乳をおっぱいから直接飲んでほしいこと、たくさん飲んで元気に大きく育ってほしいことを、赤ちゃんの機嫌のいい時に繰り返し話します。

赤ちゃんはお母さんが話してる内容を理解できる訳ではもちろんないですが、「何か一生懸命伝えようと説明してもらってる」というのは伝わると感じています。

こういう風に文章にするととてもオカルト的というか、怪しげな宗教的な感じがしますが、授乳は人1人ではできないコミュニケーションあっての行為ですから、お母さんの気持ちや赤ちゃんへの協力依頼は大事だと思うのです。

乳頭混乱解決の選択肢④:お母さんと赤ちゃんの2人ともがリラックスできる環境で授乳する

乳頭混乱をすでに起こして「授乳イヤ~~!!」と言うかのようにのけ反って授乳拒否されると、授乳の時間がくるのが苦痛だったり、緊張したりすることも珍しくないです。

お母さんが「あぁ…また授乳時間だ…今回こそは直接飲んでほしい!」と緊張して体や心が力んでいると、それが原因で授乳がうまくいかないこともあります。

お母さんのリラックスと赤ちゃんのリラックスはとても密接な関係で、どちらのリラックスを先に作るのかは難しい問題ではあるものの、どちらも必要不可欠です。

ソファやビーズクッションに体を預けて身体のどこも頑張ってない状態で授乳したり、入浴中に授乳してみたり、お母さんと赤ちゃん2人ともがリラックスできる環境・姿勢を探してみるのは、地味ですがとても重要です。

空腹すぎて赤ちゃんの方がイライラしてしまって、それが原因でお母さんもリラックスできない…という場合には、例えば、

  • 赤ちゃんが泣き始める前に授乳する。具体的には、ちょっとモゾモゾしたり、静かに目を開けたら授乳を始める。
  • 赤ちゃんの小腹が満たさせる程度に少し補足を先にして、赤ちゃんのご機嫌が少し良くなった状態で授乳を始める。

といった選択肢が有効な場合も多々あります。

乳頭混乱解決の選択肢⑤:赤ちゃんが寝ぼけている時に授乳する

赤ちゃんの目がしっかり冴えていると「おっぱいから直接飲むのはイヤ!」となってしまう場合でも、寝ぼけまなこでなら直接授乳できる場合もあります。

それを繰り返す内に乳頭混乱が解決した、という親子もいます。

「赤ちゃんが目覚めたらまずはオムツ交換をして、それから授乳」というのが一般的な手順だと思いますが、ウンチをしている訳じゃないなら、赤ちゃんがはっきり目覚めたり、ましてや泣き始めたりするのを待たずに、半分寝ている状態で授乳してみるのも選択肢の1つです。

乳頭混乱解決の選択肢⑥:しばらく搾乳で母乳分泌を維持して、直接授乳はせず、授乳プレッシャーから解放されてみる

「あれこれやってみて、思いつくことは全部やってみたけど、授乳しようとすると拒否され続けて、もう心も体もクタクタ…」

という時には、「直接授乳を一時的にやめる」という選択肢が結果的にいい場合もあると思います。

直接授乳しなくても、母乳育児を続けていきたい場合には、赤ちゃんが飲み取ってくれない間は搾乳が必要です。

なぜなら、母乳を飲み取らないまま放っておくと母乳分泌量はどんどん減っていってしまうから。(母乳量が決められる仕組みは→こちら

乳房からの直接授乳はしないけれど、絞って保存しておいた搾母乳をコップなどで赤ちゃんに与え、次回の授乳のために搾乳して保存しておく…この繰り返しです。

「授乳プレッシャーから一度解放されて、自分と赤ちゃんが本当にリラックスできた時に授乳トライしてみたら直接授乳に成功した!」という事例もあります。




まとめ

乳頭混乱の解決に向けた選択肢についてまとめました。

冒頭でも書いたように、ここにご紹介したのは数多くある選択肢のうちの一部です。

親子の数だけやり方の組み合わせがあるので、どれがそれぞれの親子に適切か分かりませんし、状況によっては取り入れない方がいい選択肢もあると思います。(早く小さく生まれた赤ちゃんの場合、母子に病気・先天異常がある場合は特に。)

乳頭混乱は比較的よくあるお困り事ではありますが、その解決の糸口はけっこう多様で解決までの道のりが複雑なこともありますので、「乳頭混乱かな?」と思ったらできるだけ早く支援者にご相談くださいね。