産後の後陣痛:痛み止めは使える?後陣痛を和らげる4つの方法

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助産師&母乳育児支援者&一児の母。 「ちょっとの勉強で、妊娠・出産・母乳・育児はもっとラクチンできる」「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、科学的な視点+リアル感覚の両方から周産期のことを解説しています。
  • 後陣痛って何?
  • すごく痛いって聞くけど(今痛くてツライんだけど)、和らげる方法はあるの?

という疑問にお答えします。

この記事で分かること
  1. 後陣痛とはいったい何なのか?
  2. 後陣痛の痛みを和らげる4つの方法

産後の後陣痛:痛み止めは使える?後陣痛を和らげる4つの方法

そもそも後陣痛って何?

特に初めてお産をする人/した人の中には、

後陣痛って何?

そんなに痛いものなの?

という人もいらっしゃると思いますので、後陣痛について基本的なことをまとめておきます。

そもそも本来の子宮の大きさは、握りこぶし位の大きさ

妊娠していない通常の時の子宮の大きさは、よく「握りこぶし1つ分」に例えられます。

元々はそんなに小さな子宮が、妊娠37~40週頃にもなると、みぞおちのほんの少し下くらいまで大きくなります。

子宮はまるで風船のように、大きく膨らんだり、縮んだりすることができる臓器なんですね。

風船も1度目に膨らます時よりも、一度空気を抜いて2回目に膨らませた方が簡単に大きくなりますよね?

ですから、同じ妊娠週数でも、経産婦さんの子宮の方が比較的大きくなる傾向があります。

後陣痛は子宮を早く元の大きさに戻し、出血量を少なくするために大事なもの

後陣痛とは、妊娠によって何倍にもなった子宮を、元の大きさに戻そうとして、子宮筋が収縮する時に起こる痛みのことです。

なんで痛みを伴うほど、そんなに急いで体は子宮を小さくしようとするのでしょう?

ミカ子
その理由は胎盤にあります。

赤ちゃんが生まれれば、その後に続いて胎盤が出ますよね?

「胎盤がはがれた」ということは、言い換えれば「20㎝大の大きなカサブタが一気にベリ!っとはがれた状態」とも言えます。

20㎝もの大きさのカサブタが一気にはがれたら、当然そこから出血しますよね?(この出血を「悪露」といいます)

大きなカサブタがはがれたまま、止血されないで出血が続けば、お母さんは多量出血になってしまいます。

体は子宮をギュ~!っと小さく収縮することでカサブタ部分を圧縮し、カサブタである胎盤がはがれた場所からの出血を防ごうとします。

急激にギュ~!と子宮筋が収縮して止血しようとするので、陣痛やひどい生理痛の時のような痛みを感じる人も多いです。

これが「後陣痛」の正体です。

後陣痛の痛みはツライものですが、産後のお母さんの体のダメージを最小限にするために、必要なものでもあるんですね。

後陣痛が強くなりやすい人

子宮がより大きくなった人の方が、元の大きさに戻すための収縮する力が強く働くことになりますので、例えば

  • 経産婦さん
  • 双子、三つ子など多胎妊娠だった人

では後陣痛が強くなる傾向があります。

また、後陣痛は陣痛と同じく「オキシトシン」というホルモンによって促されますが、オキシトシンは授乳によっても分泌されるので、授乳中・後に後陣痛をより強く感じることが多いのです。

後陣痛を和らげる4つの方法

さて!後陣痛が産後のお母さんのダメージを少なくするためのものと分かったものの、

  • 「痛いものは痛い!」
  • 「ツライものはツライ」
  • 「痛みを何とかしたい!」

が多くの人の本音だと思いますので、後陣痛を和らげる方法をご紹介しておきます。

注意
ここでご紹介する対策は、あくまで「子宮収縮状況が良好な場合」です。

子宮収縮状態がイマイチだったり、ましてや弛緩出血(産後の子宮収縮が十分起きないために起こる出血し続ける状態)を起こしている場合には当てはまりません。

ご紹介した方法を実行するにあたっては、出産病院の医師・スタッフと相談して決めて下さいね。

後陣痛を和らげる方法①:痛みに集中しなくて済むように、体勢を工夫したり、自分の気が紛れるものを病院に持参する。

最もリスクがない対処法が「後陣痛に集中しない環境を作る」ことです。

例えば、仰向けだと後陣痛をより強く感じるけど、うつぶせや横向きで横になると和らぐと感じる人も多いように感じます。

あとは、好きなマンガを読んだり、音楽を聴いたり、自分の気分が上がることをすることで、多少マシに感じる人もいます。

「後陣痛=痛くてただただ辛いもの」と考えるのではなくて、「後陣痛=自分の体を早く元気な状態に戻すために必要なもの」ととらえることができるだけで、痛みを許容できるようになる人もいます。

後陣痛を和らげる方法②:おなかを温める。

後陣痛は子宮筋が収縮する時に起こる痛みでしたね。

筋肉は冷やすことでより収縮するので、子宮の戻りが悪い時にはアイスノンなどを使っておなかを敢えて冷やすこともあります。

「子宮収縮状況がいい」と診断されていて、後陣痛が辛い場合には、おなかを温めることで後陣痛が少しラクになる場合もあります。

後陣痛を和らげる方法③:子宮収縮剤を処方されている場合は、内服を中止できないか主治医に相談する。

病院によっては子宮の戻りが良くてもイマイチでも、出産した人全員に、子宮収縮を促進する「子宮収縮剤」を処方する場合も多々あります。

子宮収縮状況が良く、医師の許可があれば、その内服を中止することが可能かもしれません。

眠れないほど後陣痛がツライような時には、医師に内服中止できないか相談してみるといいと思います。

医師でなくても、看護師・助産師経由で医師に確認することもできると思うので、身近なスタッフに相談してみてくださいね。

後陣痛を和らげる方法④:痛み止めを処方してもらえないか主治医に相談する。

後陣痛が起こる状況は、生理痛の時と似ているので、痛み止めの内服でラクになる人もいます。

子宮収縮剤と同様に、鎮痛剤も産後の人全員に処方している病院もたくさんありますが、もし、

  • 痛み止めを処方されていない
  • 処方はされているけど、あまり効いていなくて眠れないほどツラい

ということであれば、痛み止めを処方してもらえないか、痛み止めの種類を変えてもらえないか、医師や看護スタッフに相談してみるのも選択肢の1つです。

「母乳をあげたいから痛み止めは飲めないでしょ?」と思った方へ
授乳中でも安全に使える鎮痛剤はたくさんあり、産科現場ではごく普通に痛み止めが使われています。

痛み止めを飲んだからといって授乳を中止したり中断する必要はなく、飲んでいない時と同じように、特に制限なく授乳することができます。

補足
先述したように、授乳によってオキシトシンというホルモンが分泌されることから、後陣痛は授乳時・後に強くなることがよくあります。

そうするとお母さんの中のイメージでは「授乳=痛くてツライ・イヤ」というイメージになることもありますよね。

痛みを我慢しながらの授乳は確かにツライですね。

母乳の基礎量を決めるのは出産から約1週間」でもまとめたように、母乳育児を希望する人にとっては、入院中の約1週間は母乳の基礎量を決めるとても大事な時期です。

ですから「後陣痛がイヤだから授乳はしばらくお休み!」とすると、母乳育児の方がなかなか軌道に乗らなくて後で大変な思いをするかもしれません。

対処法①~④を試してみつつ、本当に授乳をお休みするのがベストかどうかは、お母さんの栄養法への希望とその時の心身の状況とを天秤にかけて慎重に決めて頂ければと思います。

まとめ

  1. 後陣痛とはそもそも何か?
  2. 後陣痛を和らげる方法

についてまとめてきました。

痛いことはネガティブな印象がありますが、後陣痛に関しては「ある程度はあった方がむしろ安心」と前向きにとらえられるだけでも気分が違ってくると思います。

だからといって、眠れないほどの痛みをガマンすることがいいことでもないので、ご紹介したような対処法をスタッフと検討し、少しでもラクにリラックスして産後を過ごせるようにしていただければと思います。