妊娠中におなかの張りがわからない時の判断の目安&心配な張りってどんなの?

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助産師&母乳育児支援者&一児の母。 「ちょっとの勉強で、妊娠・出産・母乳・育児はもっとラクチンできる」「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、科学的な視点+リアル感覚の両方から周産期のことを解説しています。 個別のご相談はこちらから →https://baobabu.online/
  • 妊娠中だけど「おなかが張る」っていう感覚が分からない
  • 「心配な張り」と「そうじゃない張り」って何が違うの?何に気を付ければいいの?
  • 具体的にどういう時に受診すればいいの?

という「妊娠中のおなかの張り」に関する疑問にお答えします。

この記事で分かること
  1. 「おなかが張る」時のおなかの硬さの目安
  2. 心配しないといけない張りはどんなものか
  3. お腹が張ったり、切迫早産の兆候があると言われた時、どんなことに注意して過ごせばいいか
  4. 受診・病院電話連絡する目安

妊婦さんの「おなかが張る」ってどういうこと?

妊娠過程のあるタイミングから、健診のたびに「おなかは張りますか?」と繰り返し聞かれます。

当たり前のように「張ってますか?」と聞かれるので、「そもそも張りってなんなの?」と思っていても聞けないでモヤモヤしたままの人も多いかと思います。

上記ツイートの通り、子宮は筋肉でできています。

その子宮筋が収縮して硬くなることを「おなかが張る」と表現します。

妊娠中におなかの張りがわからない時の「張ってるか否か」の判断の目安

子宮筋が収縮して硬くなることを「おなかが張る」と表現しますが、おなかの張りが実感できないと感じる妊婦さんはけっこう多いようです。

体つきや脂肪の付き方でこの例が当てはまらない人もいますが、おなかの張りの例えの一例として、私はよくこのように例えてお話しています。

妊娠中のおなかの張りの強さの例
  1. ほっぺたの硬さ→張ってない
  2. 鼻先の硬さ→少し張ってる
  3. おでこの硬さ→強く張ってる

「張るー張らない」だと妊婦さんの主観だけが頼りになって「分かりにくい」と感じる人もいます。

ちょこちょこ自分のおなかを触ってどれくらいの硬さか観察する習慣を付けると、自分の体を把握しやすくなると思います。




おなかの張りがある時、切迫早産の兆候があると指摘された時、どんなことに注意して過ごせばいい?

おなかが張っているかどうか、なんとなくわかるようになったでしょうか?

次は、

  1. 「心配な張り」ってどんなの?張り以外にもどんな症状に気を付ければいい?
  2. おなかの張りをよく感じる時には、どんなことに気を付けて生活すればいい?

についてまとめていきます。

妊婦さんの「心配な張り」ってどんなの?張り以外に気を付ける症状は?

一口に「張り」といっても、軽くて生理的範囲内のものから陣痛につながりかねない強いものまで様々あります。

子宮が大きくなってくると(特に妊娠30週を超えたころからは)、多少は張るのが普通です。

陣痛が始まるまでまったく1度も張らないというのは恐らくないと思います。

「じゃあ、『心配しなきゃいけない張り』はどんななの?」というところに明確な定義はありませんが、いくつか目安となる症状について記しておきます。

例えばこんな張りは「心配な張り」の可能性
  1. おなかや下腹部の痛みを伴う
  2. 腰の痛み・重だるさを伴う
  3. お尻や外陰部の方に押される感じがする
  4. 1時間単位で何回も張る
  5. 規則的に(数分~10数分毎に)張る

おなかの張りを伴わなくても、以下のような症状がある時には病院に受診相談の電話をした方がいいです。

おなかの張り以外の心配な症状
  1. 出血(量の多少にかかわらず)
  2. 破水感(尿漏れと区別できないことも多いが、「破水…?」と思ったら迷わず病院連絡!)
  3. 胎動がいつもより少ないように感じる時
  4. お腹・腰などが痛い・重だるい時

破水感について

破水感については、分かりにくいし判断に迷う人も多いので、少し補足説明をしておきます。

「破水が分かるかどうか不安」という人も多いと思いますが、周産期スタッフでも自分の体に破水が起こった時には確信が持てないことはよくあります。

「破水かな…でも違うかもしれないし、2日後の健診まで様子みよう」というのはとてもリスキーです。

診察して尿漏れや汗だったならそれでOK!

産科では破水疑いで診察に来て、空振りで帰宅される方は日常茶飯事です。

疑いながらもそのままにして後から異常が出て後悔するよりも、「疑いを感じた『その時』」に対処してくださいね。

ミカ子
ちなみに診察・入院のために車移動する時は、ナプキンじゃなくて赤ちゃんのために用意したオムツをあてておくといいですよ。

ナプキンは経血の吸収のための商品ですが、オムツは水分をよく吸収するので漏れにくいのです。

ペットシーツをおしりの下に敷いておくと、万一オムツから漏れてもシートが汚れないので、なお安心!




おなかが張り気味 or 切迫早産気味の時の生活上の注意点

次はおなかが張りやすかったり、張りは分からないけど切迫早産気味だと指摘された時に注意することについて5つの要点にまとめていくます。

おなかが張り気味の時の注意点①:こまめにおなか(子宮)に注意を向ける・おなかを触るなど、自分の体を把握する

  1. 先述した「妊婦さんの『心配な張り』ってどんなの?張り以外に気を付ける症状は?」の項で書いたような症状がないか気にしたり
  2. 特に張りを感じにくい人はこまめにおなかに触って自分の体の変化を感じ取れるようにする

工夫が、まずは何より大切だと思います。

気を付けていてもなるときは切迫早産になりますが、それでも自分の体に起こっていることを的確に知ることが、切迫早産になるべくならないようにするためには不可欠だと思います。

おなかが張り気味の時の注意点:②自分の体の状態を把握しながら、張りが和らぐ方法を模索する

張っている感覚や、触って張っているのが分かったら、張りが和らぐ方法を模索しましょう。

これも「これ!」といった解決法がある訳ではありません。

どんな姿勢をすると張りが和らぐか、どんな行動をするとマシになるか、色々なことを試しながら「自分にとっての」解決策を探していく必要があります。

張りを和らげるのに役立つと感じるいくつかの例を以下のツイートにまとめています。

おなかが張り気味の時の注意点③:長距離移動・長時間同一姿勢が必要なことはなるべく避ける

お腹の張りは、妊婦さんが「快適」と感じられなければ和らがないと思います。

「この姿勢めちゃくちゃツライんだけど…」と思いながら「張りがなくなりましたね」という例はこれまで見たことがありません。

ですから、例えば

  1. 長距離移動を伴う帰省・旅行
  2. 長時間座っている必要がある美容院

などは、おなかが張り気味の時や、張りの自覚がなくても「切迫早産気味」と指摘されている時には極力避ける方が無難です。

おなかが張り気味の時の注意点④:ワーママさんは職場の理解を得られるようにしっかり訴える or 主治医と相談し診断書を検討してもらう

妊娠中のおなかの張りは他人の目にはまったく分かりませんので、働く妊婦さんは張りを感じていても

  • 周囲に遠慮して休憩できなかったり
  • そもそも休憩を取るだけの時間的ゆとりがない

場合も多々ありますよね。

「妊娠は病気じゃないんだから、特別扱いしてもらうのはダメ」と考える人も多いんじゃないかとも思います。

実際に、入院しなきゃいけないレベルまで我慢してしまって、切迫早産の診断がついて入院を余儀なくされる方もよくいらっしゃいます。

先述した通り、多少の張りは生理的範囲内ですが、

  • 繰り返し規則的に張ったり
  • 痛み・重だるさを感じる

のは特に要注意です。

ですからお母さん自身が張りを自覚・感じたら、自分自身で自分と赤ちゃんを守るための行動を起こす必要があるんですね。

職場の上司が「妊娠中におなかが張る意味」「どうなると切迫早産になるか」を知らないこともよくあるようですが、どんな配慮をしてほしいのか自分から発信して、自分と赤ちゃんを守ってくださいね。

状況によりますが、主治医に職場の理解が得られないと相談することで、安静を指示する診断書を書いてもらって

  • 職場の理解を促したり
  • 休職できる

場合もあります。

医師に「安静にしてね」と言われて「いやいや…したくてもできないんだけど?」と思ったら、そういうことも含めて是非相談してくださいね。

おなかが張り気味の時の注意点⑤:経産婦さんは周囲の協力が不可欠

5つ目が最も難しい注意点かもしれません。

上のお子さんがいる経産婦さんの場合(あるいは自宅で介護をしている場合等)、お母さん自身が動き回ることを余儀なくされるので、

  • そもそも動く量が多いので初産婦さんに比べて張りやすかったり
  • 張りがあるかどうか気に掛ける余裕がなかったり
  • 張っていると感じても、横になる・安静にするなんてできない

こともよくあると感じます。

おなかが張り気味・切迫早産気味と指摘されていて、それでもお母さんが動き回る状況を余儀なくされる場合は、どうやっても周囲の人の協力が不可欠です。

パートナー、親、友人、近所の人、ベビーシッター、保育園の一時保育…考え得るあらゆる人に協力を仰ぐ必要がある場合もあります。

小さな我が子をお母さん自身以外の誰かに任せるのは心配だし遠慮もあるでしょうけど、我慢に我慢を重ねた場合は長期間入院しないといけなくなる可能性もあります。

サポートを得て十分気を付けていても入院が必要になることももちろんありますが、できるだけ上の子と離れなくて済むようにするためにも、おなかの赤ちゃんが元気に育つためにも、周囲の人の力を是非うまく使ってほしいと思います。




おなかが張る時の受診・病院電話連絡の目安は?

先述した「妊婦さんの『心配な張り』ってどんなの?張り以外に気を付ける症状は?」と重複しますが、復習を兼ねて「おなかが張る時の受診・病院電話連絡の目安」についてまとめておきます。

おなかが張る時の受診・病院電話連絡の目安
  1. 規則的に何度も張る時
  2. 1時間単位で何度も張る時
  3. 張り以外の症状(痛み・重だるさなど)を伴う時
  4. いつもより胎動が少ないように感じる時
  5. 出血や「破水したかも…?」は問答無用で病院連絡




まとめ

妊娠中の「おなかの張り」に関するあれこれについてまとめてきました。

この記事は以下の質問をいただいてまとめたものですが、この質問者さんのように「治療するレベルじゃないけど、自分でできるだけ気を付けてね」のような比較的漠然とした指示をされて戸惑う方も多いんじゃないかと思います。

早産になる原因は様々あり、お母さん自身の行動だけが原因ではありませんが、それでも日常生活上での注意点を意識することで防げるものもあると思いますので、参考にしていただければ幸いです。