母乳量はいつから増える?大半は産後49~72時間!

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助産師16年&母乳育児支援者&一児の母。助産師の仕事の中でも特に母乳育児支援が好きで、たくさんの母子の母乳ライフのお手伝いをしてきました。 「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、母乳育児を科学的な視点+リアル感覚の両方から解説しています。趣味は子ども服作り。
出産したのに、なかなか母乳が出るようにならなくて不安…

母乳はいつからたくさん出るようになるんだろう?

という疑問にお答えします。

この記事で分かること
 

  1. 出産直後から適切に授乳すれば、多くの人は産後72時間以内に母乳がたくさん出るようになる。
  2. 産後72時間以内に母乳がたくさん出るようになるために必要なこと
  3. 母乳がたくさん出るようになるまで産後72時間以上かかる原因

母乳量はいつから増える?大半は産後49~72時間!

後述する「必要なこと」を満たしていれば、ほぼ半数の初産婦さんが産後49~72時間で母乳が急激にたくさん出るようになると言われています。

もう少し詳しく見てみると…

⇧水野克己他:「改訂第2版 よくわかる母乳育児」より

ミカ子
反対に考えると、どんなに頻繁に授乳を頑張っていても、最初の2~3日は母乳は少ししか出ない(ほとんど出ない)のが普通ということになります。

経産婦さんは母乳を作るプロラクチンの受容体(受け皿)が多いため、初産婦さんより母乳が出るようになるのが早い傾向にあると言われています。

産後72時間以内に母乳がたくさん出るようになるために必要な7つのポイント

「母乳が急激にたくさん出るようになるまで、2~3日はかかるのが普通」と言いました。

でも、何もしないでいて母乳が出るようになるわけではなく、「やるべきこと」は色々とあります

それを1つずつみていきますね。

注意
ここでは母子ともに問題なく健康に出産した場合を想定して書いています。

ここでご紹介することは、母子の状況によっては「やらない方が良い」「やってはいけない」場合もあります。

実際に実行できるかどうかは、産院の医師・助産師などにご確認ください。

その①:出産後なるべく早く(できるだけ30~60分以内に)最初の授乳をする

出産が終わって胎盤が出る=ストッパーが外れるので、母乳分泌を始める準備ができます。

母乳を作るのには「プロラクチン」というホルモンが大きな役目を担いますが、授乳をしなければ血中プロラクチン値は急激に下がっていくことが分かっています。

産後授乳をしないでいると、プロラクチン値はオレンジの曲線のように急激に低下します。

このプロラクチン値の急激な低下を防ぐために、産後なるべく早い時期(できるだけ30~60分以内)に授乳を始めるといいのです。

産院によっては、帝王切開でも手術室で初回授乳を介助しているところもあると聞きます。

ミカ子
  • 産院の方針で産後すぐの授乳ができない
  • 赤ちゃんの具合が悪く授乳ができない
  • 帝王切開ではできないと言われた

ような場合には、搾乳の要領で乳頭刺激しておくといいですよ。(自分でやるのが難しければスタッフに依頼してみてもいいと思います)

出てくる母乳はほんの少しか、まったく出ないことも珍しくありませんが、とにかく乳頭刺激をすることが大事!

その②:最初の授乳以降も、赤ちゃんが欲しがるままに制限なく頻繁に授乳する

産後直後の授乳後も、頻繁に授乳することが重要です。

「頻繁」とは、んなに少なくとも1日8回(3時間毎)以上です。

産後早い時期から頻繁に授乳することによるメリットはこの2つ。

産後すぐから頻回授乳するメリット
  1. 血中プロラクチン値の低下を防ぐ
  2. プロラクチン受容体*の数を増やす

*受容体=ここでは「プロラクチンを働かせるための受け皿」のこと。受け皿である受容体がなければ、プロラクチン自体がせっかく増えても、体がそれを受け取って働かせることができません。

血中プロラクチン値の低下を防ぐ

先ほどのグラフでもあったように、何もしなければ産後急激に低下していくプロラクチンですが、授乳・搾乳といった乳頭刺激があると低下速度を緩めることができます

⇧頻繁に授乳していると緑のラインのようになる

プロラクチン受容体*の数を増やす

プロラクチン値の低下を防ぐのと同時に大事なのが、プロラクチン受容体(プロラクチンを働かせるための受け皿)を増やすことです。

産後早期の頻回授乳は、プロラクチン受容体(プロラクチンを働かせるための受け皿)を増やします

例えプロラクチン濃度が低くても、プロラクチン受容体が多い方が十分な母乳量を作ってくれるようになると言われています。(これが経産婦さんの方が早く母乳が出るようになるワケ)

ミカ子
まとめると、

  1. 産後早期の乳頭への頻繁な刺激(分泌量は関係ない)
  2. →プロラクチン受容体(プロラクチンを働かせるための受け皿)を増やす
  3. →母乳が少ししか出ていなくても(まったく出ていなくても)とにかく授乳・搾乳で乳頭刺激することが大事!
 

その③:授乳が難しい場合は1日8回以上搾乳する

「産後早期から、とにかく頻繁に授乳することが大事」というのがここまでのまとめですが、でも授乳するのが難しい場合もありますよね。

授乳するのが難しい代表例
  1. 病院の方針で帝王切開術後は〇時間、直接授乳ができない
  2. 赤ちゃんの具合が悪く、保育器に入った・集中治療室に入院した
  3. 早産で赤ちゃんが集中治療室に入院した
  4. スタッフに手伝ってもらっても、何をどうしてもうまく授乳することができない

こういう状況で、直接授乳ができない場合は搾乳をしましょう。

搾乳の場合も、

  1. 昼夜関係なく
  2. 2~3時間毎に頻繁に
  3. 痛みなく

乳頭刺激をするのが大事です。

搾乳方法は手絞りの場合と、搾乳器を使う場合とに分けて別記事で詳しく解説しています。

その④:夜も授乳・搾乳する

冒頭から頻繁に出てきている、母乳を作るホルモン「プロラクチン」ですが、夜の方が分泌が増えることが分かっています。

それに、乳頭への刺激が途絶える期間ができることで、プロラクチン受容体(プロラクチンを働かせるための受け皿)の増加を邪魔する可能性もあると思います。

ですから、一晩中、一度も授乳・搾乳しないのはもったいないのです。

母乳育児をしたい人は「夜は一晩ぐっすり眠るもの」という固定概念を一度捨て、「寝れる時にこま切れに寝る」という考え方にシフトする必要がありますね。

その⑤:痛みがないよう、乳輪がほぼ隠れるくらい深く吸い付かせる

ここまでを要約すると、「昼も夜も関係なく、産後すぐから頻繁に授乳or搾乳をする」となります。

ミカ子
1日中頻繁にする授乳ですから、「痛みのないように」するのがとても大事です。

とにかく1日中、赤ちゃんのオムツ交換と授乳しかしていないんじゃないかと思うくらい、生活に占める授乳のウェイトが大きくなるのが産後すぐの時期です。

頻繁にする授乳だからこそ、授乳は痛いものであってはいけません。

授乳が痛いとこんなこと⇩が起こり得ます。

  1. 頻繁に授乳するのが心身ともにツラすぎる
  2. 痛みのせいで、オキシトシン(母乳を勢いよく押し出したり、リラックスするホルモン)の分泌が減る→母乳が出ない、リラックスできない
  3. 痛いだけでなく、実際に乳頭に亀裂が入ったり、傷ができたりする→さらに激痛

「授乳=ある程度は痛いもの」と思っている人もいますが、ちょっとしたコツを駆使して授乳すると、多くの人は初めての出産でも痛みなく授乳することができます

痛みなく授乳するには、乳輪がほぼ隠れるくらい深く吸いついてもらうこと。これに尽きます。

痛くない深い吸着のためのコツ」については、別記事で詳しく解説しています。

その⑥:しっかり食べる

母乳を作り出すためには、妊娠していない時よりも350kcal余分に栄養を摂取する必要があります。

産後は「一刻も早く痩せて元の体型に戻りたい!」と考える人も多いと思いますが、母乳を作り出すためには1日2000~2350kcal必要です。

必要なエネルギー・栄養は年齢・活動レベルによって少し異なります。

厚生労働省の「食事摂取基準」から授乳期の部分だけを抜粋してみたので、参考にしてください。

ミカ子
脂身の少ない肉・魚を手の平1枚=だいたいタンパク質20gと覚えておくと分かりやすいですよ。

その⑦:すき間時間はとにかく眠る&リラックス

ここまで読んでいただたように、母乳がそれなりに出るようになるまでに2~3日かかります。

その上、昼夜関係なく頻繁に授乳するために、いつもの生活リズムで過ごそうと思うと、とてつもない睡眠不足になります。

昼でも夜でも時間に関係なく、とにかく赤ちゃんが寝た!面会の人が抱っこしてくれててご機嫌!のタイミングを逃さず、短くてもいいのでこま切れに横になって目をつぶりましょう。

心身の疲れをためず、リラックスできていた方が、母乳を押し出すオキシトシンというホルモンがたくさん出て、よりスムーズに母乳が出るようになると思います。

ミカ子
だから、入院中の面会者は必要最小限にする工夫が必要です。

面会に来ていても気兼ねなく昼寝できるような間柄の人だけにするのがオススメです。

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2019年4月2日

母乳がたくさん出るようになるのに、産後72時間以上かかる原因

ここまで、母乳がたくさん出るようになるまでに必要なことをまとめてきましたが、様々な要因で母乳が出るようになるのに時間がかかる人・十分に出るようにならない人もいます。

よくわかる母乳育児改訂第2版 [ 水野克己 ]より「母乳がたくさん出るようになるのが遅れる要因」を引用しておきます。

母乳がたくさん出るようになるのが遅れる要因
  1. 初産
  2. 帝王切開
  3. 緊急帝王切開
  4. 子宮口が全開大してから赤ちゃんが生まれるまで時間がかかった
  5. 母体の過体重(BMI30以上)
  6. 扁平・陥没乳頭
  7. 1型糖尿病
  8. 出生時のアプガースコア8点未満(アプラースコア=出産直後の新生児の健康状態を表す指数で10点満点で表す)

上記に当てはまる人は「母乳が出ない」というわけではなく、「より基本に忠実に丁寧に取り組む必要がある人」だと思っていただければいいと思います。

まとめ

母乳がたくさん出るようになるなるまでにかかる時間と、たくさん出るようになるためのポイントについてまとめてきました。

この記事のまとめ
  1. 母乳分泌が増えるタイミング=大半は産後49~72時間
    【母乳分泌が2~3日で増えるようにするためにやること】
  2. 出産後なるべく早く(できるだけ30~60分以内に)最初の授乳をする
  3. 最初の授乳以降も、赤ちゃんが欲しがるままに制限なく頻繁に授乳する
  4. 授乳が難しい場合は1日8回以上搾乳する
  5. 夜も授乳・搾乳する
  6. 痛みがないよう、乳輪がほぼ隠れるくらい深く吸い付かせる
  7. しっかり食べる
  8. すき間時間はとにかく眠る&リラックス
  9. 母乳がたくさん出るようになるのが遅れる要因に当てはまる場合は特に、基本に忠実に丁寧に取り組む