陣痛を進める・和らげるコツ&出産の不安に対処する方法

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助産師&母乳育児支援者&一児の母。 「ちょっとの勉強で、妊娠・出産・母乳・育児はもっとラクチンできる」「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、科学的な視点+リアル感覚の両方から周産期のことを解説しています。 個別のご相談はこちらから →https://baobabu.online/
  • 陣痛ってどれくらい痛いんだろう?
  • 自分に耐えられるのかな?
  • なるべく痛みを和らげてラクに過ごしたいけど、どうすればいいんだろう?

こんな疑問にお答えします。

このページの内容は、Twitter上で2人の助産師

  1. おかめさん(
  2. 私、ミカ子(@midwife_kaasan

が同じ話題で盛り上がってコラボトークのようになったものを、引用許可をいただいて1つのページにまとめたものです。

必要に応じて私ミカ子が補足をしている部分もあります。

1.7万字以上の長文なので、目次から必要な箇所に飛んで読んでいただくこともできます。

この記事で分かること
  1. 陣痛の痛みを和らげる方法・コツ
  2. 陣痛の始まりの頃の過ごし方
  3. 陣痛が強くなって子宮口が開いてきてからの過ごし方のコツ
  4. 出産は1人で頑張るのではなく、チームで頑張る
  5. 入院する前に破水した時の対処法
  6. 出産の時に出る声・叫びは恥ずかしくないこと
  7. 出産は「便と共に」も珍しくない!でも便秘で産道が狭くならないように注意が必要
  8. 出産には体と心の準備が大事
  9. バースプランの立て方・書き方
  10. 経腟分娩予定の人も帝王切開バージョンでの出産もイメージしておく
  11. 会陰マッサージ・会陰切開についての考え方
  12. 出産を終えてモヤモヤしたら「分娩の振り返り」をしてもらうのが大事

陣痛を進める・和らげるコツ&出産の不安に対処する方法

分娩経過のバリエーションは際限なくあり、お母さんと赤ちゃんの組み合わせの数だけあります。

だから「陣痛を進めるコツ」も「痛みを和らげるコツ」も万人に当てはまる答えはありません。残念ながら。

「自分にとっての正解」は「産むたびごとに」自分で探して見つけるしかないんです。

そんな「自分にとっての正解」を見つけるヒントになればと思います。

陣痛の痛みを和らげる方法・コツ

無痛・和痛分娩でない限り、陣痛というものはどうやっても、すっっごく!痛いものです。

人によって痛みの閾値は違うし、キャラも違うので、「これさえやれば大丈夫!」という産痛緩和はないですが、多くの人が痛みがラクになるコツをいくつかご紹介しますね。

補足
ツイートには出てきていませんが、よく雑誌なんかにも書かれているように

  1. テニスボール
  2. ゴルフボール

は重宝する人が多いです。

最後の「いきみたいけどいきめない」時間に肛門を押すのにも使えるのはもちろん。

ボールを使って腰~おしりをマッサージしてもらった方が、手でのマッサージより気持ちいいと感じる人もいます。

お産を進める、陣痛の始まり頃の過ごし方のコツ

正常な妊娠経過の場合、あまり早いタイミングでは入院しないで、陣痛の始まり頃は自宅で過ごすようアドバイスされる病院が多いと思います。

でも、痛みがあるのに自宅で過ごすのは想像以上に不安で心細いものですよね。

そんな、陣痛の始まり頃の過ごし方のヒントについてまとめていきます。

お産を進める、陣痛が強くなってきてからの過ごし方のコツ

一般的に、正常な妊娠経過の初産婦さんの場合の入院タイミングはこの2つです。

  1. 陣痛間隔が5~10分毎になった時(病院毎・病院と自宅の距離によって変わります)
  2. 破水した時

入院後そのままグングンお産が進んで数時間でお産になる人もいますし、本当にゆっくりゆっくり24時間以上かけてお産が進む人もいますので、ご紹介する内容がすべての人に当てはまる訳ではありません。

でも色んなバリエーションを知っておくことは、自分の出産時の選択肢を増やすことになると思います。

お産をスムーズに進めるために、出産は1人で頑張るのではなくチームで頑張る

初産婦さんでも経産婦さんでも、お産にたった1人で取り組むのには限界があります。

入院すれば助産師がマッサージしたり付き添ったりすることが多いですが、

  • あなたの分娩進行状況や赤ちゃんの状態
  • 他の分娩進行中の産婦さんの人数
  • 産婦さん以外でも病棟での緊急入院・急変の有無

などによって、必ずしもずっと助産師が付き添えるわけではないんですよね。

だから、家庭内で「birth company」を作りましょう、というお話です。

入院する前に破水した時の対処法

陣痛から出産が始まる場合はジワジワと痛み・張りが強くなることが多いですが、破水は突然「バシャー!」っとなることもあるのでびっくりしますよね。

でも

  • 妊娠37週を過ぎて「いつ生まれてもいいね」と言われていて
  • 赤ちゃんが逆子でなく、「頭が下」の体勢で
  • 出てきたお水の色が無色透明なら

破水自体は慌てる必要のないイベントです。

どこで破水したとしても、落ち着いて病院に連絡して受診してくださいね。

補足
破水には2種類あり、

  1. 「バシャー!」と出る「完全破水」と
  2. 袋の上の方で小さく破水してチョロチョロと羊水が少しずつしか出てこない「高位破水」

があります。

②の高位破水だと尿漏れと区別がつかないことも多く、受診のタイミングを逃してしまう人もいます。

破水から時間が経つと感染を起こして赤ちゃんの元気度に影響を与えることもありますので、「おしっこか破水は分からないな…」と思ったら、必ず病院に連絡してくださいね。

出産の時に出る声・叫び声は恥ずかしくないよ

出産時に大きな声が出たり、暴れたり…

後から思い返すと恥ずかしくて仕方のないお母さんもいらっしゃるようですが、「出産時のごく普通の光景」なのでスタッフは何とも思っていません。

体力温存のために我慢できるなら我慢した方がいいですが、本能的に出た声は恥ずかしいものでもなんでもなく、「そういうもの」と思ってもらえたらいいと思います。

出産は「便と共に」も珍しくない!でも便秘で産道が狭くならないように注意

「お産の時にウンチが出ちゃったらどうしよう…」と心配する人も多いですが、例え便秘じゃなくても、赤ちゃんの頭が見える頃になってくると高確率で多少の便は出ます。

先ほどの「叫び声」と同じく「お産の時のウンチ」もスタッフにとってはごく当たり前のことで、誰も何とも思っていません。

付き添いのご家族がビックリしないように、事前に教えておいてあげるといいですね。

出産には心と体の準備が大事

出産を控えて、

  • 出産がスムーズに進むコツ
  • 産痛を和らげる方法

を知ることはもちろん大切です。

誰しもなるべく苦しまずラクに出産を終えたいですもんね。

でも「どれだけ心と体の準備をして出産が始まる日を迎えたか?」は、お産をスムーズに進ませたり、産痛を和らげるテクニックを知るのと同じくらい大事なことです。

出産に向けた心の準備

出産に向けて「心の準備」をするためには、疑問・不安に感じることを妊娠初期から積極的に聞いて情報収集することが大事だと思います。

「こんなこと聞いていいのかな?ヘンだと思われないかな?」と恥ずかしがらずに、どんな質問でも聞いてスッキリさせましょう!

出産に向けた体の準備、体重管理

出産はよくフルマラソンに例えられるくらい、体力・精神力が必要です。

切迫早産・基礎疾患などによる制限がない限り、自分に合った方法でいいので基礎体力は付けておいた方がいいですよ。(ウォーキング、マタニティヨガ、マタニティスイミング、マタニティビクス等)

適切な体重管理について

ツイートの中で「あまりにも多い体重増加には気を付けて」とありますが、「適切な体重増加」は人によって異なります。

妊娠していない時のBMI(肥満度を表す数値:体重kg÷身長m÷身長m)によって、適切な体重増加量を決めることが多いので、かかりつけ病院の医師・助産師に相談してみてください。

一般的な体重増加の目安は以下のようになっています。

  • BMIが18.5未満(やせ型):+9〜12kg
  • BMIが18.5以上25.0未満(標準体型):+7〜12㎏
  • BMIが25.0以上(肥満):医師・助産師と個別相談し妊娠初期からの体重コントロールが必須

バースプランの立て方・書き方

出産をなるべくストレスなく、少しでもラクにしたいのなら、「バースプラン」は欠かすことのできないものだと思います。

バースプランを書くために

  • 考えたり
  • 調べたり
  • 人に聞いたりする

行動自体が、先述の「出産に向けた心の準備」にも直結するからです。

バースプランの提出を求められない病院だったらどうする?
「バースプラン」はかなり一般的なものになっているとは思いますが、そのようなシステムを導入していない・提出を求められない病院も中にはあります。

そういった場合に、

  • バースプランを考えるか
  • バースプランを提出するか

は意見の分かれるところだと思いますが、個人的には書いて提出してみたらいいんじゃないかと思います。

「自分の希望するお産がどれくらいできたか」は、想像以上にその後の育児の楽しさ・しんどさに結びついてくると考えているからです。

具体的なバースプランの書き方については、「母乳をあげたい人のためのバースプランの書き方~帝王切開も想定して書こう!~」でも解説しています。

経腟分娩予定の人も帝王切開バージョンでの出産もイメージしておく

バースプランは「経腟分娩の人だけのもの」ではありません。

帝王切開予定の人も

  1. 出産前夜にやりたい事、食べたい物はないか(しばらく飲食・自由な身動きができなくなるので)
  2. 最初の抱っこを誰が・いつしたいのか
  3. 初回授乳はいつやりたいのか

等々、書けることはたくさんあります。

仮に経腟分娩予定の人であっても、途中で帝王切開に切り替わることは本当によくありますから、帝王切開バージョンも想定しておきましょう。

どちらのバージョンも想定しておくことが心の準備になるので、「帝王切開=失敗」ではなく「帝王切開=プランBになっただけ」と思えると思います。

会陰マッサージ・会陰切開について

会陰切開についての希望がどの程度お産に反映されるかは、病院や、その日の分娩担当の医師によってかなり変わると思います。

気になる人は病院の方針や実情を妊娠中に聞いておくといいですよ。

出産を終えてモヤモヤしたら「分娩の振り返り」を!

綿密なバースプランを書いていたとしても、

  • それが実現できるか
  • 実現できるような分娩経過になるか

は、その時になってみないと分かりません。

「自分が思い描いていたお産」と「現実のお産」があまりにもかけ離れていると、気持ちがお産のところで止まったまま前に進めず、育児がとても辛く感じる人もいます。

そういう時に必要なのが「分娩の振り返り(バースレビューとも言います)」です。

まとめ

陣痛とどのように向き合って「いかにお産を進めるか」のコツと、出産に対する不安に対処できる「気持ちの作り方」についてまとめてきました。

この記事のまとめ
  1. 陣痛の痛みを和らげる方法・コツ
  2. 陣痛の始まりの頃の過ごし方
  3. 陣痛が強くなって子宮口が開いてきてからの過ごし方のコツ
  4. 出産は1人で頑張るのではなく、チームで頑張る
  5. 入院する前に破水した時の対処法
  6. 出産の時に出る声・叫びは恥ずかしくない
  7. 出産は「便と共に」も珍しくない!でも便秘で産道が狭くならないように注意が必要
  8. 出産には体と心の準備が大事
  9. バースプランの立て方・書き方
  10. 経腟分娩予定の人も帝王切開バージョンでの出産もイメージしておく
  11. 会陰マッサージ・会陰切開について
  12. 出産を終えてモヤモヤしたら「分娩の振り返り」をしてもらうのが大事

長文になりましたが、より多くの出産を控えた妊婦さんに届くといいなと思ってまとめました。

ツイートの引用を快諾してくださったおかめさんに感謝します。