母乳のための妊娠中のおっぱいマッサージはいつから?そもそも必要?

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助産師&母乳育児支援者&一児の母。 「ちょっとの勉強で、妊娠・出産・母乳・育児はもっとラクチンできる」「『母乳だけ』も混合栄養も全部母乳育児」という思いで、科学的な視点+リアル感覚の両方から周産期のことを解説しています。
母乳をあげたいから、妊娠中からおっぱいマッサージはした方がいい?

やるならいつからやるのがいい?

という疑問にお答えします。

この記事で分かること
  1. そもそも妊娠中からおっぱいマッサージは必要か?
  2. おっぱいマッサージをするならいつからがいいか?
  3. おっぱいマッサージのやり方
  4. おっぱいマッサージをやらない方がいい or 主治医とよく相談した方がいい例




母乳育児のために、妊娠中のおっぱいマッサージが有効という根拠はない。

妊娠中に乳房・乳頭をチェックしたり、マッサージをするよう指導されたりするのは「お決まり」のようになっていますが、そもそも本当に妊娠中からおっぱいマッサージが必要なのでしょうか。

結論だけを言うと、妊娠中に乳頭・乳輪をマッサージしておくことの有効性は今のところ証明はされていません

「産後に乳頭の状態が授乳に適した状態になるかどうかは妊娠中に準備をしたかどうかに関係なく、約半数の女性に見られた」と報告されていて、妊娠中にマッサージなどの準備をしたかどうかよりも、個人差の影響が大きいことが分かっています。
(サラッと書きましたけど、びっくりしますよね;)




だから妊娠中はおっぱいマッサージしなくてOK!とも言えないと思う。

⇧赤の風船(ひだり)は柔らかい乳輪、オレンジの風船(みぎ)は柔軟性が乏しい乳輪

「妊娠中のおっぱいマッサージの有用性の根拠はない」と書きましたが、個人的には「だからみんな何もしなくてOK!」とも言えないんじゃないかなと考えています。

反対に「明確な根拠はないんだから妊娠経過に異常があるなどの理由で、おっぱいマッサージができなくても気にする必要はない」とも言えると思います。

妊娠中からの母乳育児のためのおっぱいマッサージは「できる人ができる範囲で、やれるなら・やりたいと思えるならやればいい」というのが私の基本スタンスです。

上記画像の赤い風船ように、乳輪が柔らかく伸展性があった方が「吸い口」ができるので、赤ちゃんが吸い付きやすいです。

赤い風船のように柔軟な乳輪になるか否かは、先述したように、マッサージしたか否かよりも出産後に変化するかどうかという個人差が大きいようです…

それでも私が「できる人・やれる人・やりたい人は妊娠中からおっぱいマッサージした方がいいんじゃないか?」と理由は以下の通りです。

  1. お母さん自身が自分の体を触ることで、乳輪がどの方向につぶすとよく伸びるか発見できるかもしれないから。
  2. 「どこをどう触ると痛みなく母乳が出るのか?」のヒントが得られる可能性があるから。
  3. 根拠はないものの、可能性として乳輪・乳頭を触っている内に柔軟性が高まる期待ができると思うから。
  4. お母さん自身に「私にできることはやりきった感」があると、産後すぐに授乳がうまくいかなくても焦らない人が多いように感じるから。
  5. 特に陥没乳頭の場合、乳頭マッサージをしているうちに乳頭の溝にたまった乳カス(分泌物)が取れて、乳腺を塞ぐものを除去することができるから。
  6. 乳頭刺激による子宮収縮によって子宮口の熟化が進み、分娩時に子宮口がスムーズに開くことが期待できるから。
  7. 正常な妊娠経過&正期産&経腟分娩予定なら、乳頭刺激による子宮収縮には害はないと考えるから。
ミカ子
マッサージの有効性に根拠はないけど「効果があったらラッキー♪」くらいの気持ちで、自分の体を探索する意味で、できる人がすると範囲ですればいいと思います。

妊娠中からのおっぱいマッサージのやり方は、基本的には手での搾乳のやり方に倣えばいいと考えています。

痛いマッサージはしないでくださいね!

母乳が痛みなくたくさん絞れる手での搾乳方法:5つのやり方のコツ

2018年8月18日




妊娠中からおっぱいマッサージをするならいつからやるか?

ここまで読んで、

じゃあ、おっぱいマッサージやってみたいな。

と思った人はいつからマッサージをすればいいのか、次にまとめていきますね。

ミカ子
私の考える結論だけを言うと、

「頻度・時間を気にせず安全にマッサージができるのは妊娠経過が順調&妊娠37週以降(あるいは36週後半~)だけど、個別に適した時期は主治医&助産師と要相談」

だと思います。

まず最初に、おっぱいマッサージをすべての妊婦さんがしてOKなワケではないことを強調しておきます。

なぜなら、おっぱいマッサージをすることで「オキシトシン」という子宮収縮をさせる作用のあるホルモンが分泌され、人により場合により、出産時期が早まる可能性があるからです。

ですから例えば以下のような状況の人は妊娠中のおっぱいマッサージはやらない方がいい or 主治医・助産師とよく相談した方がいいと思います。

妊娠中のおっぱいマッサージはやらない方がいい or 主治医とよく相談した方がいい例
【おっぱいマッサージを避けた方がいいかもしれない例】

  1. 前置胎盤
  2. 持病ありの妊娠
  3. 赤ちゃんの先天的異常・疾患を指摘されている

など、お腹の張りが異常に直結する可能性がある場合や、専門医&スタッフ数が十分確保されている中での出産が必要な場合。

【主治医・助産師とよく相談した方がいい例】

  1. 帝王切開予定の人
  2. 今回の妊娠で切迫早産と診断されている(されていた)人
  3. 前回までの妊娠で、早産・流産の経験がある人

おっぱいマッサージを始める時期については、雑誌やネット上の記事によっては

  • 妊娠30週から
  • 妊娠34週から
  • 妊娠28週から……

と、読む記事によって時期がバラバラで混乱すると思います。

このページではより多くの人が安全にできる「妊娠37週~」としましたが、妊娠経過によってはもっと早くから始めても大丈夫な場合もたくさんあるだろうと思います。

個別のおっぱいマッサージ開始時期については、妊娠経過を把握しているかかりつけの医師・助産師に確認してくださいね。




まとめ

母乳育児のための妊娠中のおっぱいマッサージについてまとめてきました。

この記事のまとめ
  1. 母乳育児のために、妊娠中のおっぱいマッサージが有効という根拠はない。
  2. 「だから妊娠中はおっぱいマッサージしなくてOK!」でも「妊娠中におっぱいマッサージしないとうまく母乳育児できない」でもない。
  3. 「自分の体をよりよく知る」+「もしからしたら乳輪の柔軟性を獲得できるかもしれない」という意味で、妊娠経過が順調ならやれる人・やりたい人がおっぱいマッサージをすればいいと思う。
  4. 妊娠中に安全におっぱいマッサージができる時期は人によって全然違うので、かかりつけ医&助産師と要相談。

繰り返しになりますが、妊娠中のおっぱいマッサージは「自分の体をより深く知る」という意味では一定の効果が期待できると思っています。

…が、マッサージよりももっと大事なのは、母乳が作られる仕組みを妊娠中から理解して、その仕組みに逆らわないやり方で出産直後から適切に授乳することだと思います。

以下の記事も併せて読んでいただければと思います。

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