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母乳育児を始めて、多くの人が最初の頃に困るだろうこと。それは…
結論だけを言えば、こうなります。
乳首の痛みの原因は授乳回数ではなく、ほとんどが「赤ちゃんの吸い付きが浅いから」です。
このページでは、
- 「授乳時間」の考え方
- よく飲めているかどうかの判断の仕方
について詳しくお答えしていきます。
「右〇分、左〇分」と決めて授乳するのはナンセンスな2つの理由
結論から言うと、基本的に「右〇分、左〇分の授乳」と、時間を決めた授乳はしない方がいい母子が多いです。
「おっぱいが傷つくのを防ぐために短時間の授乳にしておきましょう!」と昔は指導していたこともありましたが、これは間違いです。(詳細は後述しますね)
授乳時間を決めずに赤ちゃん任せにした方がいい理由を2つ、説明していきます。
理由①:高脂肪&脂溶性ビタミン豊富な「後乳」を飲まないのはもったいないから!
お母さんの体から出てくる母乳の成分は、常に均一ではありません。
1回の授乳でも、後半に出てくる母乳(後乳)の特徴にはメリットがたくさんあります。
- 1回の授乳中に母乳の脂肪分は徐々に増加する。
- 後乳には脂肪分が多いので、高カロリー。
- 後乳には脂溶性ビタミン(ビタミンA,D,E,K)が多く含まれる。
- 後乳には、抗感染作用のある糖蛋白が多く、早産児に対する感染防御に有用。
(水野克己他『改訂第2版 よくわかる母乳育児』p73,80,182より引用)
授乳を始めて何分頃からこの「後乳」が出てくるかは分からないので、残念ながら「最低〇分は授乳を!」とは表現できません。
前乳→後乳にはグラデーションのように変化していくしので、「ここから後乳!」とは言えないのです。
「右〇分、左〇分」と短時間で切替授乳をしていたら、この⇧後乳をあまり飲めない可能性が高いです。
効率よくエネルギー・脂溶性ビタミンを赤ちゃんに与えるためには、短時間での切替授乳より、赤ちゃん任せで時間に縛られずに授乳した方がいいんです。
頻回授乳の原因が、短時間切替授乳による赤ちゃんのエネルギー不足と思われるケースもあります。
後乳より前乳ばかりを飲むことで、ガスが溜まりやすくなって苦しくてグズグズする赤ちゃんもいます。
左右〇分と時間を決めずに赤ちゃんが飲みたがるだけ飲んでもらうことで、
- 授乳回数が落ち着いた
- 赤ちゃんのグズつきが治まった
ということは、支援現場ではよくあります。
ほとんど飲んでないのに乳首を離してくれない時の、痛くない乳首の外し方
授乳時間を赤ちゃんに任せて飲みたいだけ飲んでもらうと、
- もうほとんど眠っているように見えるのに乳首はくわえたまま
- しっかり飲んでいなくて、乳首をくわえているだけ
ということもよく起こります。
「そろそろ飲み終わったみたいだし、授乳おしまいにしたいな」という時に、そのまま赤ちゃんをおっぱいから離すと歯茎で乳首を挟まれるので痛いです!
- 授乳前にお母さんの手・指は清潔にしておく。
- 赤ちゃんの口角から指を1本入れる。(人差し指か小指がやりやすい人が多いです)
- 指を赤ちゃんの歯茎と歯茎の間に入れる。
- 歯茎の間に隙間ができたら、そっと乳首を外す。
指を上下の歯茎の間に差し込むというのがポイントです♪
もし片方しか飲まなかった時は次の授乳を早めに&反対側を飲んでもらうor少し搾乳
特に生まれて間もない頃は、赤ちゃん任せで授乳していると片乳の授乳だけで終わってしまうことがよくあります。
もし片方だけしか授乳できなかったときは、次の授乳で反対側を飲ませてあげてください。
両乳飲めた時より授乳間隔を短くすると、飲まなかった方の乳房が張り過ぎるリスクを抑えることができますよ。
もし授乳できなかった側の乳房が、次の授乳まで待てないくらい張っている時は、軽く搾乳・排乳しておいてもOKです。
生まれて間もない頃や、性格的にのんびりしている赤ちゃんだと、授乳したいのに寝てばかりいて飲んでくれないこともあります。
そんな時はこんな風にして起こしてあげてくださいね。
- おくるみや洋服を脱がせる。
- オムツを替える・開ける。(濡れていなくても開けてみる)
- 赤ちゃんの体を優しくさすってマッサージする。
赤ちゃんの足の裏をくすぐるように触って起こしてもOKですが、つねったり痛いこと・不快なことはけっしてしないように。
「授乳=痛いことをされる」と赤ちゃんにインプットされると、うまく授乳できなくなることがあります。
授乳回数は1日8回より少なくならないように注意が必要
1回の授乳時間を赤ちゃん任せにしていると、授乳の所要時間が長かったり短かったりバラバラになることがよくあります。
もし授乳に時間がかかっても、授乳回数が最低でも1日8回以上にはなるように注意してくださいね。
授乳回数が減ると、母乳分泌が少なくなったり、赤ちゃんの黄疸が強くなったり、体重増加が悪くなる可能性があります。
理由②:乳首が痛いのは授乳時間のせいじゃないから。適切な吸着こそが乳頭痛を予防・改善する!
先述したように、「おっぱいが傷つくのを防ぐために短時間の授乳にしておきましょう!」と、まことしやかな(でも間違った)指導をしていた時代もありました。
繰り返しになりますが、乳頭痛の原因は、授乳時間・回数ではなく赤ちゃんの吸い付きが浅いからです。
乳首が痛い時は授乳時間を短くするのではなく、授乳方法・授乳姿勢そのものを見直してみてください。
以下の記事が参考になると思います。
よく飲めているかどうか?は授乳の瞬間には分からない。「おしっこの回数」&「体重増加状況」で判断
授乳に時間がかかったり授乳回数が多いと誰もが感じる不安。
結論だけ言うと、授乳時間が長い・授乳回数が多いのは、必ずしも母乳が飲めていない・母乳が足りないというわけではありません。
「母乳、足りてる?足りない?を見分ける2つの方法」でもまとめていますが、赤ちゃんに必要なだけ母乳が飲めているかどうかは、以下の2点から判断できます。
- 1日6回以上&薄くて&ずっしりとしたおしっこが出ているか?
- 成長曲線(母子手帳に載っています)に沿って赤ちゃんの体重が増えているか?
裏を返せば、以上の2点を満たしていれば、1回の授乳時間が長くても授乳回数が多くても、母乳量は足りているということになります。
授乳している「その時」には十分飲めているかどうか分からないので心配になるかもしれませんが、1回1回の授乳だけをみるのではなく、1日1週間…と少し長いスパンで見て判断してくださいね。
まとめ
1回の授乳時間についてまとめました。
結論だけ言うと、多くの赤ちゃんにとっては「脂肪分が多くカロリーの高い後乳まで飲んでもらうために、授乳時間は〇分と決めずに赤ちゃんが決めるのがベスト」となります。
授乳回数の目安については、「母乳だけor母乳メインにしたい場合、新生児期の授乳回数は最低10回以上」にまとめていますので参考にしてください。
授乳時間が長すぎるせいで乳首が痛いのかも…