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今回は、母乳で育てる場合の
- 授乳の頻度・間隔
- 授乳にかける所要時間
についての基本的な考え方をまとめていきます。
この記事は
に書いてある知識を前提としていますので、未読の方は先に読んでからこの記事をお読みくださいね。
早産の場合やミルク寄り混合栄養の場合などまで考えると、答えは無数になって限りがないので、ここではあくまで以下のような場合の授乳がどんな感じかについて解説していきますね。
- 正期産(妊娠37~42週未満)で出産して
- 母子ともに健康で
- 「母乳だけ」「母乳メインの混合栄養」を目指す場合
- 母乳の場合、授乳間隔・頻度に制限はない
- 授乳するのに適したタイミング
- 授乳回数が多い時の注意点&ミルク等の補足が必要な時
- 授乳間隔をお母さんが意図的に操作する必要がある場合
- 1回の授乳に掛ける時間の考え方。後乳を飲めるようにするのがポイント
- 左右短時間切り替え授乳を、あえて勧める場合もある。
- 「授乳時間が長いと乳首が痛くなるから短時間切り替え授乳」はナンセンス。痛くない適切な吸い付かせ方をマスターしよう。
- 生後何ヶ月になっても、大人が赤ちゃんのリズムに「ついていく」のが基本
- 飲んだ後に吐く「いつ乳」は必ずしも飲みすぎのサインではない
- いつ乳があまりに多い時に考慮すべきこと
母乳の場合、授乳間隔・頻度に制限はない
「授乳 回数」とググると、「平均回数」という「1つの答え」を求めている人が多いんだなと分かります。
…が!!
そもそも母乳で授乳している場合、「平均」なんてものは存在しないに等しいのです。
母乳の場合、
- 授乳間隔は〇時間以上開ける
- 授乳は1日〇回まで
といった制限は「ありません」。
赤ちゃんが欲しがる度に何回でも、どれだけでもあげて大丈夫です。
よく言われるように、母乳は人工乳に比べて消化がよく、赤ちゃんの消化器官への負担が少ないです。
また、生まれたての赤ちゃんは胃の容量が小さいので、自発的には一度にたくさんの母乳を飲まないのです。一般的には。
>RT
3000gで生まれた赤ちゃんの胃の容量目安は以下の通り。生後1日:約6ml
生後3日:約24ml
生後7日:約63ml
生後10日:約81ml病院でのミルク補足量が多すぎる傾向があるのが分かりますね…😥
多くの病院でやってる「日齢×10ml+10ml」でミルク足してたら、そりゃあ母乳出るようにはならないよ…
— ミカ子 (@midwife_kaasan) 2019年5月29日
これは裏を返すと「母乳は腹持ちが悪い&赤ちゃんの胃は小さく一度に少ししか飲めない=授乳しても授乳してもすぐ飲みたがる」ということになりますので、直接授乳だけで育てていると、生まれて最初の1ヶ月程度の授乳回数は
- 少なくて1日10回程度
- 多いと20回以上
になることが多いように思います。
「授乳回数に平均なんてない」と書いたのは、このように赤ちゃんが飲みたい回数には個体差が非常に大きいからなんです。
一例として、「ちょこちょこ飲み」が好きな娘を、退院直後から母乳だけで育てた私の授乳表をお見せしますね。
私の場合は、
- 母乳分泌状況はむしろ過多気味で、
- 効果的に授乳するために必須の「深い吸着」も徹底していましたが、
それでも産後最初の1ヶ月くらいの授乳回数は20回程度でした。
これは私が特別レアケースという訳でもなくて、母乳だけ(とりわけ搾母乳を補足しない直接授乳だけ)で育てている場合にはそれなりによくある授乳回数です。
授乳回数が多く、昼夜をいとわずの頻回授乳だと、「私はいったいいつ休むの…?」と感じると思います。
母乳育児を軌道に乗せるために夜間授乳が大事な理由
夜間授乳を実行可能にするためのポイント
は、「母乳育児を軌道に乗せるために、夜間授乳が大事なワケ」で解説していますので、「夜間授乳・頻回授乳が辛そうで心配/すでに辛い人」は併せてご覧くださいね。
授乳するタイミングは「赤ちゃんが泣く前」
「赤ちゃんが泣くたびに授乳してね」という助産師・看護師もいますが、赤ちゃんが「泣いてからの授乳」だと、授乳するには遅すぎることが多いです。
なぜなら、赤ちゃんが怒り狂ってギャン泣きしていると、
- パニックのような状態で授乳に集中できないし、
- 舌が巻き上がってしまって乳首を舌の上に乗せられないので、
うまく吸い付かせることが難しくなるからです。
「授乳に適した早期のサイン」を見逃さず、泣く前に授乳するのが基本です。
授乳間隔が短く、授乳回数が多い時にまず確認すべきこと&ミルク等の補足をすべき時
「母乳は消化が早く&赤ちゃんの胃の大きさから一度にたくさん飲めず腹持ちが悪いため、授乳回数が多くなるのは当たり前のこと」と書きましたが、授乳回数が多い時に注意・確認したい点があります。
これらの確認点で心配な要素がある場合には、ためらわずミルクを使う必要がある場合もあることを心に留めておいていただきたいと思います。
- 赤ちゃんの吸い付き方が十分深いか?
- 赤ちゃんのおしっこが十分出ているか?赤ちゃんは順調に体重増加しているか?
- お母さんの疲労度・睡眠不足・ストレスは「お母さん自身の」許容範囲内か?
授乳回数が多い時に注意・確認したい点①:赤ちゃんの吸い付き方が十分深いか?
効率よく効果的に母乳を飲み取るためには、乳輪がほぼ隠れるくらい乳房に深く吸い付いてもらう必要があります。
浅い吸い付き方だと、一見飲んでいるように見えても、授乳時間をかけた割に大した量を飲めていないことがよくあります。
また吸い付かせ方が浅いと乳首に傷ができてツライですし、痛みがあると母乳を勢いよく押し出す「オキシトシン」というホルモン分泌が少なくなるので、同じ授乳時間でも浅くて痛い授乳は飲み取れる母乳量が少なくなります。
授乳間隔が短くて回数が多い時には「こんなもんかな…」と思う前に、「吸着(吸い付き方)」が適切か確認したり、必要なら修正する必要があります。
授乳回数が多いと感じる時には、入院中ならスタッフに授乳姿勢をみてもらったり、退院後なら母乳外来で相談するといいと思います。
私のサイトでも、授乳時の適切な抱き方・吸い付かせ方については「母乳が出ない!乳首が痛い!を解決する、10個の授乳のコツ」でまとめていますので、参考にしてくださいね。
授乳回数が多い時に注意・確認したい点②:赤ちゃんのおしっこが十分出ているか?赤ちゃんは順調に体重増加しているか?
母乳が良く出ていても・効果的に母乳を飲めていても頻回授乳になることは本当によくありますが、一方で、
- 母乳量が明らかに少ない
- 吸着が浅くて効果的に母乳を飲めていない
などの理由で、頻回授乳になる場合もあります。
必要な母乳が飲めているか否かの見分け方は以下の通りです。
- 1日6回以上、薄くてたっぷりのおしっこが出ているか
- 成長曲線に沿って体重が増えているか
- 目安として1日あたり20~35g体重増加しているか(体重増加のいわゆる「合格ライン」は小児科医の考えによってかなり左右しますので、あくまで目安です)
必要な母乳が飲めているか否かの見分け方の詳細は、以下の記事でも解説していますので参考にしてくださいね。
「母乳だけ育児」に没頭し過ぎる余り、赤ちゃんが必要な栄養・水分を摂取できていないのは本末転倒です。
「飲める量が少なくて頻繁にほしがっている」という事もありますので、「十分飲めているか?」は常に意識する必要があります。
赤ちゃんを思って母乳育児を始めたはずが、むしろ赤ちゃんの健康を損ないかねないほどまで「母乳だけ」を頑張ってしまうお母さんにも時々お会いします。
そういうお母さんの多くは、自分自身も睡眠不足と疲労でフラフラになっている人が多いように思います。
生まれてすぐの頃の頻回授乳は普通のことではありますが、「必要な量をしっかり飲めているか?」の視点は忘れず、必要な時にはためらわず搾母乳やミルクを使ってほしいと思います。
授乳回数が多い時に注意・確認したい点③:お母さんの疲労度・睡眠不足・ストレスは「お母さん自身の」許容範囲内か?
母乳をものすごく推す助産師の中には、「今が頑張り時なんだから頻回授乳頑張らなくちゃ!ミルク足したら母乳出るようにならないよ!」みたいな言い方をする人もいます。…というかそういう人を知っています。
言っていること自体は、母乳が作られる仕組み的には正しいです。
でも、お母さんがあまりにも疲れてフラフラでイライラして…というような場合には、ミルクが必要な場合もあると私は思います。
子育てでの最優先課題は「母子と家族が心身ともに健康であること」です。
授乳生活によってそれが妨げられたらナンセンスですよね。
赤ちゃんが2~3時間眠ってくれるくらいのミルク(保存してある搾母乳があればもちろんそちらを優先!)を単発で上手に使うのは理に適っていると私は考えます。
赤ちゃんが眠りがち、体重増加が少ない等の場合は、授乳間隔をお母さんが意図的に操作する必要がある。
先述してきたように、基本的には赤ちゃんが飲みたい時に飲みたがるだけ授乳すればいいのですが、これが当てはまらない赤ちゃんもいます。
例えば、
①赤ちゃんが妊娠37週台前半で生まれたり、黄疸気味などの理由で眠りがちで、放っておくと4~5時間でも平気で寝てしまう→だけど体重増加があまり良くない
②赤ちゃんの飲みたい頻度で飲ませていると、排尿回数・体重増加が十分得られない
ような時です。
このような場合には、お母さんが2~3時間で赤ちゃんを起こして、意図的に頻回授乳を「作り出す」必要がある場合もあります。
眠りがちな赤ちゃんの起こし方のヒントはこちら⇩をご覧ください。
黄疸等の心配がないか確認してもらってるという前提で…
教科書的に勧められる眠りがちな赤ちゃんを穏やかに起こす方法は
「オムツ一枚にして、お母さんの素肌に抱いて、優しくさすって、母乳の匂いで誘う」無理に起こすより、赤ちゃんの飲みたい意欲を引き出した方がうまくいく事もあります😊 https://t.co/ENQsHYG9yR
— ミカ子 (@midwife_kaasan) 2019年5月28日
母乳で育てる時の授乳時間の考え方
1回の授乳に掛ける時間は、基本的には赤ちゃんが決める
ここまでは、授乳間隔・頻度についてまとめてきました。
ここからは、1回の授乳にどれくらいの時間をかければいいか?についてまとめます。
結論だけ言うと、基本は
「赤ちゃんが飲みたい時間、飲ませましょう」
となります。
入院中に「左〇分、右〇分ずつ吸わせてくださいね。」と指導されることがありますが、母乳から必要なエネルギーや栄養素を効率よく摂取するには、「短時間切り替え授乳」は非効率的でオススメできません。
母乳は飲み始め~飲み終わりまで均一な成分の母乳が分泌される訳ではなくて、授乳後半に向かって脂肪・脂溶性ビタミンを豊富に含む「後乳」へと変化していきます。
母乳が分泌する様子を文章で表すと、
- 赤ちゃんの飲み始め:母乳はジワジワ・ポタポタ出る
- しばらくすると(1分位):シャーシャーと勢いよく母乳が出る(射乳する)
- 射乳の勢いが衰えて
- またジワジワ・ポタポタに戻る or ほとんど出なくなる
となりますが、②の射乳の後半~終わりにかけて、脂肪・脂溶性ビタミン豊富な「後乳」が出てくるのです。
「後乳は脂肪が豊富」ということは、同じ量の母乳であっても、後乳をしっかり摂取できる④まで飲んだ赤ちゃんは摂取できるエネルギー量が多くなります。
つまり、後乳を飲んでもらった方が
- 体重が増えやすい
- より高カロリーの母乳が飲めるので、腹持ちがアップしてむやみに授乳回数が増えない
- 乳房がほぼカラになるまで飲んでもらえるので、新しい母乳が作られる循環ができて「母乳がたくさん出る体」になりやすい
といったメリットがあるんですね。
あと、ガス腹になってよくうなる・ぐずる赤ちゃんの相談でよくよく話を聞いてみると、「短時間切り替え授乳をしていて後乳を飲めていなかった」という事もよくあります。
後乳まで飲んでもらうようにすると、ガス腹が解消する赤ちゃんが多いように思います。
【具体的に「いつを授乳の終わり」と判断するか】
- 赤ちゃんは最初「呼び出し吸てつ」と呼ばれる、小刻みに早いリズムで飲む
- 母乳がシャーシャー出て射乳が始まると、「ごっくん、ごっくん」というゆっくりしたリズムの飲み方に変わる
- 射乳の勢いが衰えてくると、自分から乳首を外したり、あまり口を動かさなくなって吸う力が弱くなる
となります。
③まで来た時が、授乳を終わりにする合図です。
- ③まで来ると、赤ちゃんが自ら乳首を外して終わりになることもありますし、
- 「明らかにほとんど飲んでいないのに、惰性でチュクチュクしてるだけだな~」という時は、お母さんの指を使って痛くないように乳首を外して授乳を終わりにするやり方もあります。
痛くない乳首の外し方のコツは下記⇩をご覧ください。
【痛くない&傷を付けない乳首の外し方のコツ】
- 授乳前にお母さんの手・指は清潔にしておく。
- 赤ちゃんの口角から指を1本入れる。(人差し指か小指がやりやすい人が多いです)
- 指を赤ちゃんの歯茎と歯茎の間に入れる。
- 歯茎の間に隙間ができたら、そっと乳首を外す。
*指を上下の歯茎の間に差し込むというのがポイントです♪
左右短時間切り替え授乳を、あえて勧める場合も時にはある
先述した通り、短時間切り替え授乳は「基本的には」おすすめしません。
一方で、例えば
- 赤ちゃんが左の乳頭の形が気に入らなくて飲んでくれず
- 左だけ分泌が少ない
- だから左メインで飲んでほしいけど、授乳しようとするとのけ反って拒否する
というような場合には、
「赤ちゃんお気に入りの右のおっぱいを少し吸ってもらって、小腹を満たして落ち着かせてから→苦手な左おっぱいに移行」
とアドバイスすることもあります。
短時間切り替え授乳は、全てのケースにおいてNGではないと私は考えています。
「授乳時間が長いから乳首が痛くなる」はちょっと違う
授乳時間についてさらに言うと「乳首が痛くなるから、短時間の授乳にしましょうね」と言うスタッフもいます。
が!乳首が痛いのは吸着が浅いなど、抱き方・吸い付かせ方に何か問題があるからです。
授乳時の痛みは我慢するものではないし、ましてや短時間授乳でその場しのぎをするものでもないです。
授乳回数が多くても、授乳時間が長めであっても、適切な抱き方・吸い付かせ方をしていれば、乳頭・乳輪に傷ができたり痛くなったりすることはほとんどありません。
繰り返しになりますが、適切な抱き方・吸い付かせ方については「母乳が出ない!乳首が痛い!を解決する、10個の授乳のコツ」で解説しています。
とても重要な、母乳育児をする上では欠かすことのできないポイントなので、是非読んでみて下さいね。
授乳に決まった手順はない。生後何ヶ月になっても「赤ちゃんのリズムに大人がついていく」感じ
検索をしている方は、授乳間隔や授乳時間について「平均の目安」とか「月齢が上がっていった時の目安」という答えをお求めになっていることが多いように思います。
生後すぐでも、月齢が上がっていっても、
- 赤ちゃんの体重増加が良好(成長曲線にそって順調に増えている)
- オムツが1日6回以上、薄い色のおしっこで、ずっしりと濡れる
- お母さんの疲労感、負担感が許容範囲内
なら、授乳回数を意識的に減らしたり増やしたりする必要はありません。
生後1ヶ月で授乳回数が10回程度に落ち着く親子もいるし、まだ20回位必要な親子もいます。
生後3ヵ月には1日7~8回の授乳回数の親子もいますし、まだ10回以上の授乳が必要な親子もいます。
必要な授乳回数・授乳時間は、基本的には赤ちゃんが決めてくれるので、
- 赤ちゃんの体重増加が良好(成長曲線に沿って順調に増えている)
- オムツが1日6回以上、薄い色のおしっこで、ずっしりと濡れる
- お母さんの疲労感、負担感が許容範囲内
なのであれば、お母さんが赤ちゃんのやりたいやり方に「ついていく」というスタンスでやるのがいいと思います。
飲んだ後に吐く時はどう考える?「いつ乳が多いのは、飲ませすぎ」とは限らない
「ゲップをしても吐き戻しが多く、飲み過ぎではないか?」という質問は本当によくいただく質問です。
赤ちゃんがよく吐く理由は、
- 赤ちゃんの胃の形は大人と違って「とっくり型」
- 胃の入り口である『噴門』の閉じ方が甘く、逆流しやすい
の2点です。
いつ乳が多い理由①:赤ちゃんの胃の形は大人と違って「とっくり型」
上記画像⇧は大人の胃のイメージイラストです。
一方、赤ちゃんの胃の形はよく「とっくり」⇩に例えられるように、縦長で大人のようには湾曲していないので、液体を貯めておくことが難しい構造になっています。
いつ乳が多い理由②:胃の入り口である『噴門』の閉じ方が甘く、逆流しやすい
大人の胃では、入り口である「噴門」が飲食していない時は閉じた状態にあります。
一方で、生まれたばかりの赤ちゃんは、この噴門の閉まりがゆる~いので、飲んだ母乳・ミルクが逆流しやすい構造になっています。
上記のような理由から、
- 例えゲップをしていても
- 飲んでいる量が適量でも
授乳の度に母乳やミルクを吐くことは本当に本当に!よくあります。
「ほとんどの場合、いつ乳の問題点は『洗濯物が増えることだけ』」なのです。
よく吐く赤ちゃんとそれほど吐かない赤ちゃんの差が何なのかは私にははっきりとは分かりませんが、胃の形・噴門の緩さ具合・胃の大きさ・飲んだ後の姿勢などによって個体差が出ているんだろうと想像しています。
赤ちゃんが吐くことはよくあるので、基本的にいつ乳を心配することはないですが、例えば以下のような症状が伴う場合は小児科を受診するといいと思います。
- ゴポっと吐くのではなく、噴水のように勢いよく吐く
- 繰り返し吐いて体重増加や排尿回数が少ない
- 発熱している
- いつもより飲みが悪い、吸う力が弱い、いつもより寝ている時間が異様に長い、やたらと機嫌が悪いなど、「なんとなく元気がない」と感じる
いつ乳があまりに多い時に考慮すべきこと
ただ、飲む度に大量に吐くような場合には、授乳方法の見直しが必要な場合もあるかと思います。
いつ乳があまりに多い時に考慮すべきこと①:ミルク足し過ぎの可能性
よくあるのが、ミルクを足し過ぎの場合。
先述したように赤ちゃんの胃の容量はとても小さいので、補足量が多すぎるとよく吐きます。
授乳量が十分かどうかのとりあえずの目安は「薄い色でたっぷりのおしっこが1日6回以上出ているか」「成長曲線に沿って体重増加しているか」でしたね。
そのあたりを意識して、赤ちゃんにとっての「ちょうどいい補足量」を探してあげると、吐く回数が減るかもしれません。
いつ乳があまりに多い時に考慮すべきこと②:後乳が飲めていないためにエネルギー不足で「量」を飲んでいる可能性
適切に母乳を飲んでいて、いつ乳が多いのは仕方のない話で、先述したように問題点は「洗濯物が増える事だけ」です。
ただ、授乳の後半に出てくる「後乳」を十分飲めていないことで吐きやすくなる可能性はあると思います。
どういうことかというと…
- 後乳=脂肪を豊富に含んで高カロリー
- 前乳=脂肪量が少ないので、比較的低カロリー
なので、
前乳ばかりを飲んでいると、母乳量は飲んでいるけど、熱量(カロリー)が十分に摂れない
→飲んでも飲んでも空腹
→頻繁にたくさん飲む
→よく吐く
という悪循環に陥る可能性があるということです。
何か理由がなければ、後乳を飲めるように、授乳時間にはなるべく制限を付けないで、赤ちゃんのリズムに合わせてあげるといいと思います。
まとめ
母乳で育てる場合の、授乳間隔/頻度と授乳時間の基本的な考え方についてまとめてきました。
ここまでをまとめるとこうなります。
- 母乳の場合、授乳間隔・頻度に制限はない
- 授乳するタイミングは「赤ちゃんが泣く前」
- 授乳間隔が短く、授乳回数が多い時には、
・深い吸着ができているか
・必要な栄養、水分が摂取できる位飲めているか
・お母さんの負担感が許容範囲内か?
を確認し、必要な時はためらわずミルク等を補足する必要がある。 - 赤ちゃんが眠りがち、体重増加が少ない等の場合は、授乳間隔をお母さんが意図的に操作する必要がある。
- 1回の授乳に掛ける時間は、基本的には赤ちゃんが決める。短時間切り替え授乳は基本的にはナンセンス。
- 左右短時間切り替え授乳を、あえて勧める場合も時にはある。
- 「授乳時間が長いと乳首が痛くなるから短時間切り替え授乳」はナンセンス。痛くない適切な吸い付かせ方をマスターしよう。
- 生後何ヶ月になっても、大人が赤ちゃんのリズムに「ついていく」のが基本
- 飲んだ後に吐く「いつ乳」は必ずしも飲みすぎのサインではない
- いつ乳があまりに多い時には、「補足のし過ぎ」「後乳を飲めていない」可能性を考慮する。