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という疑問にお答えします。
- 科学的根拠のある「母乳にいい食べ物」はないこと
- 母乳育児中でもケーキ・チョコレート・アイス・チーズなど、食べたい物を食べていいこと
- 高脂質の食べ物でもおっぱいが詰まったり乳腺炎の原因にはならない理由
- 母乳の詰まりや乳腺炎の予防に必要なのは、「頻回授乳と深い吸着」ということ
- だからといってデザートを食事にしていいわけではないこと
母乳にいい食べ物とは?ケーキ・チョコレート・アイス・チーズもOK!
科学的根拠のある「母乳にいい食べ物」は特にない
このページを開いている方は「母乳中だけど、ケーキとか食べて大丈夫かな…」と思っていると思います。
基本的な栄養素を摂れるように一応注意していれば、好きな物を食べて大丈夫なんですよ。
科学的根拠のある「母乳にいい食べ物」というのは特にないのです。
カレー、ピザ、うなぎ、おもち、牛肉、豚肉、バター、ポテチ、どら焼き…母乳中でも食べていいのです
検索キーワードを調べることのできるサイトで「母乳」と入力すると、母乳に続く単語で飛びぬけて多いのは「食品名」です。
母乳育児中でも高脂質の食べ物を食べても大丈夫な理由は後述しますが、
- ケーキ
- チョコレート
- アイスクリーム
- チーズ
- カレー
- ピザ
- うなぎ
- お餅
- 牛肉
- 豚肉
- バター
- ポテチ
- どら焼き
等々…一般的な食べ物なら、どんなものでも食べたからと言ってそれが乳腺炎の直接的原因にはならないので、安心して楽しんで食べてください。
高脂質の食べ物で母乳が詰まったり乳腺炎にならない理由
高脂質の食べ物で乳腺が詰まらない理由は2つあります。
- 脂肪球を1㎝とすると、乳腺(乳管)は10mに相当するほど、それぞれの大きさには歴然とした差があるから。
- 脂肪球同士はくっつかない→脂肪球が合体して大きな脂肪の塊にはならないから。
「ケーキなど高脂質な食べ物を食べると乳腺が詰まって乳腺炎になりやすい」
というのは、随分昔から伝承のように信じられてきていて、今でもそのように指導する助産師なども多いです。
私も例に漏れず、先輩助産師から伝承されてお母さんたちにもそのようにお伝えしていた黒歴史がありますが、理屈として学ぶと何ら根拠のない「迷信」だったとよく分かります。
だって、幅10mの川に直径1㎝のスーパーボールを投げ入れて、川がせき止められるか?なんて、考える余地もないことですよね。
高脂質の食べ物が無性に欲しくなる時は、疲れたりストレスが溜まっているのかもしれない
「でも、そうは言っても、私はケーキ(あるいはシュークリーム、アイス、チョコ…)を食べたから、おっぱいがガン!と詰まって乳腺炎になった!」
と言う人もいると思います。
実は私も理屈では高脂質食品が乳腺炎の原因ではないと理解しながら、実際に自分が出産してみると、高脂質食品を食べることをためらっていました。
そして、シュークリームのような高脂質デザートを食べた後に乳腺炎を発症して「やっぱり…!」と一時思いました。
でもよくよく考えてみると、シュークリームを2つも3つも食べたくなった原因は、
- その時期に娘の夜泣きがひどく、とてもとても疲れてストレスが溜まっていた
- 夜泣きを治めるために授乳があまりに頻繁で授乳に意識が集中できず、吸い付きが浅くなっていた
など、食べ物以外にもいくつかの理由があったんです。
食べ物より何より、疲れ・不適切な吸着が乳腺炎の原因だったのだと今では分かります。
食べ物は犯人に仕立て上げやすいのですが、注意深く振り返ってみると、多くの人は食べ物以外にも普段の授乳とは違うことがあると思います。
母乳の詰まり・乳腺炎予防に本当に大事なのは、授乳頻度&深い吸着
乳腺炎の原因が食べ物じゃないなら、何が原因なのでしょう?
私の例でも少し触れましたが、乳腺炎の原因の多くは以下のものです。
- 授乳頻度・回数が少ない、減った
- 授乳の所要時間がいつもより短い
- 赤ちゃんのおっぱいへの吸い付きが浅い
- 下着・おんぶ紐などによる体の締め付け
- 疲れ・ストレス
すべてを要約すると、おっぱいの外に出すべき母乳が、乳房内に溜まったままになることによって乳腺炎が起こる、ともいえます。
母乳相談をしていると、
- 来客後
- 家族のイベント中・後
- 帰省中・後
- 旅行中・後
に発症する乳腺炎によく遭遇します。
いつもと違う環境や生活リズムになると、いつもはできている適切な授乳ができなくなることが多々あるのではないかと思います。
これらのことから、乳腺炎対策として大事なのは以下のようになります。
- 環境が変わっても、疲れていても授乳は休まず、いつもの頻度で授乳する。(でも体は休めてね)
- 来客中・外出先・旅行先であっても、授乳に集中していつも通りの時間の長さ授乳できるよう、できるだけ静かな環境で授乳する。
- 授乳するソファー・椅子、添い乳をする枕が変わると吸着が浅くなりやすいので、環境が変わった時はいつも以上に赤ちゃんが深く吸い付いているか注意する。
- コルセット・体に食い込むようなおんぶ紐などを使わないようにする。
- 疲れたりストレスが溜まると体の抵抗性が下がって風邪をひきやすくなるように、乳腺炎にもなりやすくなるので、授乳中は疲れやストレスを溜めないように注意してよく休む。
だからと言って、デザートを食事にするのはナンセンス
あまりいないかもしれませんが、ごくたまにいらっしゃるので一応注意喚起を。
「高脂肪でもおっぱいが詰まらないなら、ケーキ食べ放題~♪」
という感じで、お菓子やデザート類を食事の代わりにする方がたまにいますが、それはナンセンスです。
授乳のために脂肪を制限する必要はないですが、お母さんの健康にとって害になり得るからです。
授乳中の栄養については厚生労働省が食事摂取基準を出していますので、それをベースに日常のお食事を考えるのが賢明です。
「タンパク質〇gとか言われても分からないよ!」という人のために、手間いらずで超簡単にこの食事摂取基準を満たせる食事例を考えた記事も書いていますので、あわせてご覧ください。
まとめ
「母乳にいい食べ物とは?」と題してまとめてきましたが、「母乳にいい食べ物」は科学的には特にありません。
よくある「授乳中は〇〇は食べちゃダメ」にも科学的根拠はありません。
ただ、健康に生きていくためにも、元気に子育てできるようにするためにも、「お母さんの健康にとっていい食べ物」を食べてほしいと思います。
- 科学的根拠のある「母乳にいい食べ物」は特にない。
- 乳腺炎予防や、乳管の詰まり予防のためにケーキなどの高脂質食品を避ける必要はない。
- 高脂肪食品が乳管の詰まり・乳腺炎の原因にならないのは、乳腺の太さに対して脂肪球が小さい&脂肪球同士はくっ付いて大きくはならないから。
- 乳腺炎予防のためには、「適切な授乳」が重要
- だからといってデザートを食事にするような極端な食生活は健康保持の観点からナンセンス
赤ちゃんにおいしくて体にいい母乳を飲ませてあげたい。
でも、母乳をあげている間は
みたいな高脂質の食べ物を食べると母乳がまずくなったり、乳腺炎になりやすいんでしょ?
でも食べたい!どうすればいいの…