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先日「母乳やミルク、足りてる?足りない?を見分ける2つの方法」で、授乳量が適切かどうかは以下の2点から判断できると書きました。
- 成長曲線に沿って赤ちゃんの体重が増えている。
- 薄くてたっぷりのおしっこが1日6回以上出ている。
ただ①の方法は、生まれて間もない時期だと体重測定した回数自体が少ないので、情報量に欠けて使いにくいのが実情です。
生後3ヵ月頃までは、成長曲線よりも「1日当たり〇gという体重増加」の方が使いやすし、実際の支援現場でも活用することが多いです。
ですから今回は、1日当たりの体重増加から授乳量が適切か判断する方法についてまとめます。
生後3ヵ月頃までの赤ちゃんの適切な体重増加は20~35g/日
ここで言う「赤ちゃん」とは生後3ヵ月頃までの赤ちゃんを指します。(生後3ヵ月以降は、母子手帳記載の成長曲線を活用するのがおすすめです)
1日何g体重増加してればOKか先に結論を言うと、おおむね1日当たり20~35gの増加です。
でもだからといって、この+20~35g/日の範囲に入ってさえいれば誰でもOKというわけではありません。
- 生後数日間で5~10%生理的体重減少がある。
- 日齢4日目頃から体重が増え始める。
- 生後2~3週までに、生まれた時の体重に戻る。
- それ以降の体重増加は以下の通り。
・~生後1ヶ月:+16~35g/日
・生後1~3ヵ月:+20~35g/日(+18~30g/日との文献も)
・生後4~6ヶ月:+18~30g/日
・生後6ヵ月~:+8~16g/日
・生後1年:出生体重の2.5~3倍になる
適切な「1日当たりの体重増加」は赤ちゃんによって違う
「1日当たり20~35gの体重増加が適切」と書きましたが、かなり範囲が広いですよね。
つまり、「適切な1日当たりの体重増加の基準は、けっこう曖昧&流動的なもの」ということです。
「そう言われても、だいたいの目安が知りたい!」という人も多いと思いますので、私の感覚では…というところの例を2つ、ご紹介します。
例①:3000g程度で生まれた健康な赤ちゃんなら+25~35g/日(私の感覚)
例えば、妊娠・分娩経過が順調で、平均的な3000g前後で生まれてきた赤ちゃんなら、体重増加を日割り計算して、+25~35g/日ならOKかなと私は考えています。
ただし、+30g/日未満だと「哺乳量が足りない」と判断する小児科医もいるので、そのあたりは赤ちゃんのかかりつけ医の判断基準やお母さんの考えを詳しく聞いて対応していくことになります。
例②:少し早く&少し小さく生まれた赤ちゃんなら+20~30g/日(私の感覚)
- 妊娠35週後半~37週前半に生まれて(妊娠37週未満が「早産」です)
- 出生時体重が2300~2500g程度(出生体重2500g未満が「低出生体重児」です)
- 妊娠・分娩経過に大きな異常なし
- 出生後も合併症なく健康
こんな赤ちゃんであれば、+20~30g/日くらいが妥当かなと私は考えています。
小さく生まれた体の赤ちゃんは、胃の容量が相対的に小さかったり、飲み取る力が弱いことが想像できるので、例①の標準的な大きさの赤ちゃんよりはゆっくりめの成長ペースになるのが普通かなと思います。
成長曲線で言うと、こんな感じ⇩のイメージですね。
ただ、この場合も赤ちゃんの主治医の判断基準がそれぞれあるので、そこを詳しく聞き取って対応するようにしています。
小児科医と助産師の判断基準が違うとお母さん・お父さんが混乱する原因になるので、ケースごとにその都度、臨機応変に判断しています。
「1日〇gの体重増加」は、赤ちゃんの状態を一番よく知っている人の判断基準を参考に
先述した例①・②とも、最終的には「赤ちゃんの主治医・かかりつけ医の判断基準に応じて…」とモヤモヤしたことを書きました。
このページを開いてくださっている方も、聞く人によって「1日〇g」の基準が違って混乱している人もいるかもしれませんね。
教科書的な適切な体重増加は+20~35g/日とかなり幅があります。
その中で1人1人の赤ちゃんに合った体重増加がどのあたりになるかは、医療者が「感覚的に」決めているのが実情なのです。
私自身は「赤ちゃんの健康状態を一番よく把握しているのはかかりつけの小児科医だ」ということを前提にした上で、お母さん・お父さんの意向をお聞きして流動的にその子に合った適正体重増加値を設定しています。
かかりつけの小児科医と助産師の私との間で、お母さん・お父さんが混乱するのは避けないといけないと思いますので…
赤ちゃんの状態を一番よく知っている&信頼できる医師・助産師・支援者とよく相談して、どれくらいの体重増加が適切かは、それぞれ判断してもらえたらと思います。
医師・助産師と一口に言っても、母乳育児支援に熱心か否かはかなり差があります。
私の実感としては、母乳育児支援に関心が薄い医師・助産師ほど、厳しめの体重増加基準(より多くの体重増加を求める)であるように思います。
反対に、「『母乳だけ』で育てることこそが何よりも大事!」と強く信じる助産師は、甘めの体重増加基準(少ない体重増加でもOKとする)のことが多いようにも思います。
母乳育児支援に関心がない医師・助産師も困るし、「母乳だけ」に強くこだわるあまり、赤ちゃんの健康状態が本末転倒な結果になるのも困ります。
難しいことだとは思いますが、「母乳育児支援と赤ちゃんの発育・発達状態の判断」両方に精通した支援者を是非見つけてくださいね。
まとめ
- 教科書的には、生後3ヵ月頃までの赤ちゃんの1日当たりの体重増加は、20~35g程度が適切なこと
- 生後3ヵ月頃からの体重評価は、成長曲線の方が使いやすいこと
- 1日当たりの体重増加は各医療者の「感覚・さじ加減」で決まっているので、「母乳育児支援」と「赤ちゃんの発育・発達状態の判断」の両方に精通した支援者を見つけるのが大事なこと
についてまとめてきました。
読んでいただいた通り、1日当たりの体重増加での評価はとても曖昧な部分が多いです。
一般のお母さん・お父さんには特に、生後しばらくしたら成長曲線(母子手帳中盤~後半に記載)を使った方が手軽だし、分かりやすくておすすめです。
「母乳やミルク、足りてる?足りない?を見分ける2つの方法」で詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。
などによって変わります。